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カワ

安藤桃子本文


まえがき
20年前、NPO法人RIVERの最初の取り組みは『水』の本を作ることでした。時代の本質を知らなければ、地域は生きていけないと思ったからです。あれから時代はどう変わったのか?このたび『川』という本を作りました。32人、各界の方々に原稿をいただき、これから先も四万十川の流域で暮らしていく私たちの「道しるべ」としたいと思います。
執筆者のプロフィールはRIVER編集部が制作させていただきました。私たちも、参加させていただきたかったのです。失礼な言い回しがあるかもしれませんが、おゆるしください。

執筆者プロフィール

安藤桃子プロフィール


有料部分で「カワ」の全文を読むことができます。


カワ

安藤桃子

 血が汚れている。

 濁った川を見ると、そう聴こえてくる。そして腕の毛穴に鼻の穴をひっつけ、犬のように嗅いでしまう。肌色に透けて見える青いライン、その奥を流れる赤い液体。はたしてその赤い川の水質は、吸血鬼が唾を呑むような代物だろうか。新生児や汚れなき処女のそれは、きっとモルトヴォーノ、トレボン!ヤミー、マシッソヨ。とろけるような、甘美、いや、きっとたまらない、妙味のはずだ。

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