著作権侵害はなぜ後を絶たないのか~個人向け顧問弁護士サービスのご案内~

弁護士の河野冬樹と申します。

著作権侵害に関する案件を多く扱っていて、思うことがあります。

それは、非常に今更なのですが、個人ならばともかく、なぜこんなに、それなりの企業までもが著作権侵害を行うのだろう、ということです。

恥ずかしながら、最初は、相手方が著作権に関する知識がないのだろう、くらいに思っていました。

知識がないものだから、侵害が発覚した場合のリスクの認識も、場合によっては違法なことをしているという認識もなく、侵害に及んでしまっているのだろうと。

しかし、どうも、実際に先方と交渉をしてみると、そうではない。

意外に、弁護士の名前で侵害に対する警告及び損害賠償請求をすると、素直に侵害の事実を認めてくる場合の方が多い。

自分の侵害の認識がなかったならば、もう少し反論してきたり、あるいは放っておけばいいという判断をしそうなところがありそうですし、実際、ご相談にいらしている方は、自分で抗議文送るなどしたけどらちが明かなくて~といってご相談に来られる方がほとんどです。

よくよく考えてみると、あまりよろしくない仮説が浮かび上がってきました。

それは、コンプラ云々を抜きにするならば、企業にとって、無断盗用をした方がかえって得なのではないか、ということです。

日本の著作権法上は、もちろん損害賠償や刑事事件の規定はあるものの、アメリカのような懲罰的損害賠償の制度があるわけではないし、漫画村のようなよほど悪質な事例でない限り、刑事事件になることもあまりない。

もちろん、法律の仕組みとしては、著作権侵害をすれば、権利者から損害賠償請求を受けて、利益を得てもそれを吐き出すことになるので、それで利益があるわけでもない。だから、抑止としては十分できるという立て付けになっています。

しかしながら、これは、無断使用に対して、権利者が断固たる措置をとる、という前提あってのことです。

実際問題としては、権利者の側も、断固たる措置を取るには、著作権侵害で認められる損害額は必ずしも多くないし、そこから弁護士費用もかかってしまうこともあって、泣き寝入りすることになることが多いのが実情です。

裏を返せば、使用する側も、ある程度それがわかっていて、面倒な手間をかけて許諾を取ったり、使用料を払ったりするよりも、大多数の権利者は侵害に気付いても請求などしてこないから、もし弁護士経由で請求されて、裁判までされそうな時だけあきらめて素直に支払うと割り切ってしまったほうがよい。

そうであるならば、この裏返しで、不正に使用しようとする側から見て、権利者が、費用をかけずに侵害に対応することができ、そのことが周りから明らかであれば、あえてリスクを冒そうということはなくなるのではないか。

ということをずっと考えていたのですが、ふと気づきました。

企業の場合、顧問弁護士の存在により、既に同じことをやっているんですね。顧問弁護士の存在自体が企業の信用力を向上させるし、例えば、契約書を結ぶとき、顧問弁護士に相談します、の一言があるだけで、その後も含め相手としても下手なことはできない。

だったら、個人の方でも、ミニマムな形で顧問契約をご締結いただける形にすれば、同じことが可能なのでは?

そう思って、過去に日弁連が出していた弁護士報酬基準を見ると、企業ですと月額5万円~10万円が相場ですが、実は、あまり使われているのを聞いたことがないだけで、個人の方向けの場合の料金というのも、その10分の1くらいの金額である、月額5000円~1万円くらいを相場に、一応存在している。

だったら、この顧問弁護士の料金の範囲内で、著作権侵害や、あるいはクリエイターさんにとって悩みの多いであろう報酬の不払いについて、無料で対応してはどうか。

通常、顧問契約といいますと、どちらかというと予防が主で、実際に案件が生じた場合には別料金、というのが一般的です。

しかし、今回ご提案させていただくのは、むしろ、交渉、もしくは訴訟を起こす場合の着手金を一定の範囲まで無料とすることで、ご依頼のハードルを下げることです。そこまでやって、それが、先方に対するプレッシャーとなり、むしろ、紛争の予防にはそちらの方が実効性があるのではないか。そのように考えるに至ったわけです。

ということで、前置きが長くなりましたが、個人事業主向けの顧問契約サービスを始めることにいたしました。

金額も含めた仕組みはこうです。

1、顧問料
通常、法人の方を想定し、月額5万円~10万円で提供している顧問契約を、個人の方に限り、月額5000円、もしくは1万円で締結させていただく。

2、サービス内容
顧問契約をご締結いただいている方には、着手金を、5000円のコースの方は通常より10万円、月額1万円のコースの方は通常より15万円を減額させていただく。

請求額が125万円以下の場合(ほとんどの著作権侵害の場合がこれにあたります)、5000円コースの方は、通知を送っての交渉の段階まで、1万円コースの方は訴訟の提起まで着手金は無料となり、獲得した金額に応じた成功報酬のみとなります。もちろん、それより着手金が高額となる場合でも、10万円もしくは15万円が減額されることとなります。

顧問契約である以上、顧問契約を締結している旨、ホームページその他で顧問弁護士として氏名を表示していただくことが可能です。

また、案件以外の、日常的に創作活動をされている中で生じるような、

この素材作者に無断で使って大丈夫?

他の作品のパロディでこういう表現して大丈夫?

といった、ご相談も、メールにてお受けすることが可能です(ただし、対応できる数に限りがありますので、当面、お一人につき月1件までのご相談とさせてください。)

3、注意事項
さて、最後に、いくつかご了承いただきたいことがあります。

1、現状では一人での取り組みで、初めは手探りになってまいります。そのため、ご対応可能な人数に限りがあり、大変恐縮ながら、予告なく受付を停止、もしくは終了させていただく場合がございます。

2、案件が生じた時だけ契約し、終了後すぐ解約する、という利用のされ方は本意ではありません。そのため、契約後3か月を経過した方か、1年間分を一括払いしていただいている方のみ、その対象とさせていただきます。

3、また、月額5000円という料金は、あくまでほぼお一人でやられているクリエイターの方を想定していますので、契約できるのは、雇用している従業員数が4名以内の個人事業主または法人に限定させていただきます。

(契約後、規模が拡大された場合には、法人向けのプランをご案内させていただきます)。

4、公序良俗に反したり、反社会的なビジネスを行っている方のご利用は固くお断りいたします。もしお申し込み後に発覚した場合、その後のご利用をお断りさせていただく場合がございます。

5、クリエイター以外の個人事業主の方でもご利用いただけますが、案件の内容次第で、対応できかねる場合がございます。

上記をご了承いただける方には、ぜひご活用いただければと存じます。

また、ご不明点等ございましたら、いつでもお問い合わせフォームからお問い合わせください。

6、継続的な関係となりますので、一度、ご契約にあたり、事前の面談をお願いしております。以下の申し込みフォームから、ご面談のご希望日程をご指定ください。ご面談後、正式にご契約の流れとさせていただきたく存じます。



【追記】

お問い合わせを多くいただいておりますので、下記要領にて説明会を開催することにいたしました。

多くの皆様のご参加をお待ちしております。

日時    6月28日(日)13時~
開催方法  Zoomミーティングにて開催(事前に、Zoomの無償アカウントをご用意ください。こちらで参加者の方に、ご招待をお送りいたします)
参加費   無料
内容
・個人向け顧問弁護士サービスのご案内
・著作権侵害にどのように対処していくのか?
・著作権侵害を事前に防止するためにやっておくべきこと

申込方法 以下の申込ページより無料チケットをお申し込みください。


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