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「監査証拠」って何?

公認会計士の独占業務である『財務諸表監査』(以下、「監査」と書きます)ですが、受けたことがない人はもちろん、実際に監査を受けたことがある人にとっても、何をしているのかわかりにくいものだと思います。

この監査解説シリーズでは、『監査』の特徴はどういうものか、何を目的としているのかという点について、何回かに分けて書きたいと思います。

第4回は「監査証拠」についてです。
・第1回「二重責任の原則」はこちら
・第2回「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準」はこちら
・第3回「重要性」はこちら


1.監査証拠=監査意見の土台

監査の最終成果物は「監査報告書」になりますが、監査報告書の内容(適正意見、不適正意見などの「監査意見」の種類)を決めるために、監査法人は様々な手続を行って監査証拠を積み上げます。その結果を受けて、総合的に判断した結果を「監査意見」として監査報告書に記載します。

「監査の目的」の記述の中でそれについて触れているのが「監査人が自ら入手した監査証拠に基づいて判断した結果を意見として表明」の一文です。今回はこの中の「監査証拠」についてです。

(監査基準 第一 監査の目的)
 財務諸表の監査の目的は、経営者の作成した財務諸表が、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについて、監査人が自ら入手した監査証拠に基づいて判断した結果を意見として表明することにある。
 財務諸表の表示が適正である旨の監査人の意見は、財務諸表には、全体として重要な虚偽の表示がないということについて、合理的な保証を得たとの監査人の判断を含んでいる。


2.監査の有効性・効率性を左右する「監査証拠」

監査証拠は監査を行う上で非常に重要な概念です。監査の有効性・効率性を左右するのが監査証拠ですので、もっとも重要な位置付けのものになります。

「財務諸表」という経営者の主張が正しいかどうかを確認するために、勘定科目ごとに証拠を積み上げて確認していきます。このとき入手する証拠が監査証拠であり、
・証拠力の強い監査証拠が入手できれば監査の「有効性」も上がる
・それ以上の手続をする必要がないようであれば監査の「効率性」も上がる
ということになります。そのため、どのような監査証拠を入手するかどうかは非常に重要なんです。

監査証拠については「監査基準委員会報告書500 監査証拠」に詳細が記載されていますが、全て説明すると誰も読まない記事になってしまいますので、、監査を受けるにあたって意識していただきたい点だけ解説したいと思います。


3.監査証拠の証拠力を意識して資料を渡す

監査証拠は入手した経路や誰が作成した資料か等々により証拠力に差があります。監査法人は入手した監査証拠の証拠力を常に意識して、証拠力が足りないようであれば追加の資料を依頼したり、自ら計算等して確認したりして十分かつ適切な監査証拠を積み上げます。

証拠力には様々な視点がありますが、覚えておいていただきたいのは入手する資料が「外部資料」か「内部資料」かという点です。

違いは文字通り、企業外部から入手した資料か、内部で作成された資料か、という点になります。感覚的にお分かりかと思いますが、証拠力としては、外部資料>内部資料、となります。単純に外部だからいいというわけではないのですが(外部の専門家であれば能力についての評価も必要だったりしますが)、基本的に外部か内部かで大きく証拠力に差が出ます。

(最近では外部資料を電子でもらうことが多くなってきたので、「電子的監査証拠の改竄等への対応」という論点も出てきています。こちらについては詳細また別noteで解説したいと思います)


4.監査の特徴を理解して円滑なコミュニケーションを

監査法人が資料依頼をしてきた際に、求めているのは「外部資料」であることを意識しておいていただき、できるだけ関連資料の中で「外部資料」を渡していいただけると、その後の追加依頼などはなくなってくると思いますのでぜひ覚えておいていただければと思います。


いかがでしたでしょうか。

次回は「監査意見って何?どんなものがあるの?」について解説していきたいと思います。(できるだけ監査論の解説にならないように短めにします・・)

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