新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の致死率は、本当は8~11%で SARSと同等なのか!?
※ 昨日、怖ろしいことに気が付いてしまったので、緊急投稿します。
「彼(敵)を知り 己を知れば 百戦殆うからず」、中国最古の兵法書、『孫子』の謀攻編にある有名な一節です。目下の「敵」である新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)と、その感染症(COVID-19)について、我々は十分に知っているでしょうか? もちろん、初めてぶつかる相手のことを完全に知ることはできません。しかし、せっかく入手できている情報を、果たして正しく活用できているでしょうか? 新型コロナウイルス感染症の致死率は、中国の武漢市に限っても、3%程度だからそれほど高くない(心配ない)というのが、公式情報をはじめ、TVやネットでも定説になっていますが、本当にそうなのか? 以下は、そういう話です。
https://news.qq.com/zt2020/page/feiyan.htm#/
上の画像とリンク先は、「テンセント(騰訊)QQ」がリアルタイム公開している中国国内の臨床統計サイトなんですが、前から思っていたのが、感染者数(累計確診)、死亡者数(累計死亡)の他に、「回復者数(累計治癒)」っていう項目があるんですよね。まあ、「QQ」に限らず、中国のサイトでは載せていることが多いんですが、これって重要なのかな?と。他にも、「現有確診」という項目があったりして、これって何?と感じながらも、そのままにしていました。
ところが、この2つ(「累計治癒」と「現有確診」)って、実は超重要! だったんですよ!
というのは、致死率(疫学上は「致命率」が正しい用語)の計算式は、
致死率 =(死亡者数)÷(感染者数)
だと皆さん思っていて、確かにwiki なんかにもそう書いてあるんですが、実はこの式、「発生早期」や「感染拡大期」のフェーズで使ってはいけないんですね。少なくとも「まん延期の終わり」以降、つまりピークを過ぎて「終息期」に入ってからでないと、正しく使えない。
どういうことかと言うと、上の式の分子(死亡者数)はいいんですが、分母の「感染者数」には、「死亡者」でもなく「回復者」でもない、すなわち現在病院(または自宅?)のベッドで病気と闘っている最中で、死亡と回復のどちらに転ぶか確定していない患者さんの数が入っているので、こういう未確定な数値を含めて「致死率」を計算するのは、本来おかしい理屈になります。つまり、全体の「感染者数」に対して、「未確定者数」の割合が十分小さくなる時期からでないと、確からしい割合(率)にはならない。で、実はこの未確定者数が、先ほどの「現有確診」で計上されてる値だったんですね。
では、発生早期や感染拡大期にあっては、どう「致死率」を概算するかというと、ここで前掲の「回復者数(累計治癒数)」を使います。すなわち、
致死率 =(死亡者数)÷(死亡者数 + 回復者数)
で、これが正しい式になります。もちろん、式は正しくても、日本みたいに感染実態を反映していないデータだったり、感染初期のフェーズでサンプル数自体が少なかったりすると、確からしい「致死率」は得られないのですが、現在の中国はどちらの要件もクリアしているはずです。中国の場合でも、感染のスケールはごまかしてる可能性はあるので、「絶対値」で議論するときは注意が必要ですが、「割合」や「率」で見るなら問題ないでしょう。
それでは、本日(2月26日)までのデータを用いて計算してみます。中国全体でのそれぞれの数値を代入して、
2718 ÷(2718+29851)= 0.0834…(約8.3%)
と、思ったとおり高いですね! なお、従来の式で計算すると 約3.5%です。
ただし、中国全体だと、感染初期のエリアも含まれている可能性があるので、湖北省だけでも計算してみます。
2615 ÷(2615+20912)= 0.1111…(約11.1%)
ありゃ、やっぱりと言いますか、中国全体より高くなってしまいました! なお、従来の式で計算すると 約4.0%です。
参考までに書いておきますと、類似の感染症の致死率はそれぞれ、スペイン風邪が >2.5%、SARSが 11%、MERS(中東呼吸器症候群)が ~45%、新型インフルエンザ(H5N1型)が ~60% といったところです(※ データは次のサイトからの引用)。
今回の自分の「気付き」には、日本よりも今の中国の人たちのほうが、もしかしたら「科学的な思考力」に優れていたり、「統計や具体的な数値に基づいてものを考える習慣」が根付いているのかなって点も含まれます。だって、日本のサイトで「回復者数」を計上して載せてるところは、寡聞にして知りません。例えば、このサイト(※ クリック・タップでリンク先に飛びます)も載せてません。あらためて見ると、有名な、ジョンズ・ホプキンズ大学がまとめている世界全体の統計サイト(※ クリック・タップでリンク先に飛びます)でも、回復者数(Total Recovered)はちゃんと載せているんですよね……。
まとめますと、従来言われている、「致死率は2~3%止まりだから必要以上に恐れなくていい」という見解は極めて怪しいことになり、蓋を開けてみれば、 SARSと同等の強毒性を持っていて、しかも感染力が非常に高いという、とんでもなく厄介なウイルスだったのです! そもそも、SARS-CoV-2 という名称からわかるとおり、正しくは「新型SARSウイルス」なのです。
最後に、昨日(2月25日)に、COPID-19 の感染拡大防止のための「政府基本方針」(※ クリック・タップでリンク先に飛びます)が示されましたが、この中身についての自分の率直な感想を、次の画像で表現しておきます。
※ おかしな箇所があれば、コメントなどでぜひご指摘ください。
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