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納品

最後の夜が来た。

目が乾き、その乾きを潤そうとしているのか、ただただ眠気に追いやられて逃げたいのか、まぶたは重たかった。

例えばそれが海辺に作った砂の城だとしたら、作っては波が寄せて、食いつぶした。その波は「こだわり」でもあり「改善」「修正」「再考」などという名でも呼ばれていた。

作っては波にさらわれ、砂の城は果てしなく崩された。
良くしたい気持ちはああるが、どうやっても崩れ、終わりは来ないのではないか、と、私は不安にかられた。

しかし、本当に終わりは来るものだ。海は静かになった。
私は砂の城にトンネルを通した。最後の作業だった。

「校了」

その言葉を最後に、制作は終わった。

とうとうまぶたはその重みに耐えきれず落ちた。闇が広がる。満たされたのか、落ち着いたのか、そのまま意識もゆっくりと遠のいた。

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