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『サクラ大戦』と2.5次元ミュージカル

『サクラ大戦』(セガサターン)は1996年9月27日にセガから発売された。
制作は、原作・広井王子さん、脚本・あかほりさとるさん、キャラクター原案・藤島康介さん、音楽・田中公平さん等著名なスタッフで、企画や設定はレッドカンパニー、ゲームのプログラム作業等はセガが担当している。
 
レッドカンパニーは、コンテンツの企画やプロデュースを行う会社だった。
『サクラ大戦』の前はPCエンジンの『天外魔境 ZIRIA』の制作に関わっている。PCエンジン CD-ROM2でこのタイトルをプレイしたことがある人は、データの読み込みが遅いとか、坂本龍一の音楽が意外とあっけない等いろいろな思い出があると思う。
 
浅草の鷲神社近くにあったレッドカンパニーを何度か訪れたことがある。1990年代のことだ。ゲーム会社というよりは企画会社のような雰囲気の会社だった。スタッフはどのゲーム会社より個性的だった。
 
同社は、ゲームの企画・プロデュースにとどまらず、『サクラ大戦』を原作としたサクラ大戦歌謡ショウというミュージカルも手がけている。1997年『帝国歌劇団・花組特別公演「愛ゆえに」』に招待してもらったが、ゲームとは異なる感動があった。ゲームを原作にしたミュージカルの先がけだった。
 
その前には、1993年に初演された、漫画を原作にした『美少女戦士セーラームーン』のミュージカルがあった。
知り合いのゲームライターが、公演によく足を運んでいて、その感想を熱く語ってくれていたので、『サクラ大戦』のミュージカルも違和感なく受け入れられた。
 
それからしばらくの間、ゲームを原作にしたミュージカルは登場しなかったが、2003年漫画『テニスの王子様』を原作にしたミュージカルが登場して人気になった。その後人気漫画やニメ、ゲーム原作のミュージカルが次々と登場する。
 
このように人気IP (Intellectual Property/知的財産)を原作にした新しいエンタティメントは、2000年代ビジネスになり、2010年以降急成長した。いつの間にか2.5次元ミュージカルと言われるようになっていた。ちなみに2022年の年間総動員数は274万人だったそうだ。(一般社団法人日本2.5次元ミュージカル協会公表資料による)
 
PCゲーム『刀剣乱舞』は、2.5次元ミュージカルとしても人気で、国内や海外で公演を行っている。今年の6月サイバーエージェントが『刀剣乱舞』の制作会社を167億円で買収した。この記事をネットニュースで読んだとき、ここまで大きなビジネスに成長したのかと驚いた。
 
『帝国歌劇団・花組特別公演「愛ゆえに」』の公演から約30年。
ゲーム、漫画やアニメとミュージカルを融合させた新しいエンタティメントは、国内だけではなく海外のファンも増やしながら市場を拡大させている。レッドカンパニー(その後レッド・エンタテインメント)が手がけた『サクラ大戦』のミュージカルも海外進出して、多くのファンを作ってほしいと思う。

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