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読書記録「そして誰もいなくなった」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、アガサ・クリスティー 清水俊二訳「そして誰もいなくなった」早川書房 (1976)です!

アガサ・クリスティー「そして誰もいなくなった」早川書房

・あらすじ
イギリスはデヴォン州「インディアン島」という謎の島に招かれた10人。

インディアン島は元々アメリカの富豪が所有していたものだったが、最近売りに出され、オーエン氏という素性を知らぬ者がが買い取ったことで、一躍謎が深まる島であった。

招かれた10人は年齢や性別も、職業も異なり、知り合いでもない。ただ、「U. N.オーエン」に招かれたということだけは共通していた。

インディアン島には立派な屋敷が建っている他、"手のひら"のように遮るものはない、周りを崖で囲まれた孤島であった。

加えて、客室にはマザーグースの子守唄が額縁に収められていた。

十人のインディアンの少年が食事に出かけた
一人が咽喉を詰まらせて、九人になった

同著 35頁より抜粋

食堂のテーブルには陶器で出来た10体のインディアン人形。なるほど、ここはたしかにインディアン島であると。

最初こそ一体何のために呼ばれたのか戸惑っていたものの、豪華な客室と美味しい食事に場は和みつつあった。蓄音機から「彼ら一人ひとりの罪」を告発されるまでは…。

パニック状態に陥る参加者。向こう見ずな男は、このスリル溢れる状況に乾杯するも、酒に喉を詰まらせて死んでしまう。

…気づいたときには、インディアン人形が9体になっていた。

タイトル通り「誰もいなくなる」まで狂気の犯行が続く。果たして犯人は誰なのか。一体何の目的で犯行に及んだのか。

自称読書家故に、いまだに読んでいなかったアガサ・クリスティー。紹介される機会の多さに、ようやく紐解いた次第。

ミステリー故に深く考察することはないのだが、ミステリー界の名作とだけあって非常に面白かった。物語に冗長がないからこそ、情景を思い浮かべ、まるで私もインディアン島にいるかのような錯覚を覚える。

物語に引き込まれるもう1つの理由は、序盤に登場するマザーグースの歌詞。これから彼らがどうやって死んでしまうか、先に提示されているからこそページを捲りたくなる。

ただ、予告殺人ならば何でも面白いというわけではない。作品への没入感が高いところにアガサ・クリスティーの魅力があるのではなかろうか。それではまた次回!

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