いつか教科書にのる時代に、ぼくらは生きている。
むかし、チェルノブイリのドキュメンタリーをみたことがある。原子炉からほど近いプリピャチ。暮らしのよすがは残っているけれど、ひとけはなく、まさに「からっぽの町」だった。それはありえない光景、だったはずだった。
でもコロナ禍の今、「からっぽの町」はめずらしくなくなった。
お店に入る時には、消毒を求められ、体温を測られる。マスクを外せば、人の目が気になる。ニュースは不謹慎を糾弾する。ひとつひとつは大したことじゃない。でもそんな生活が続くうちに、ぼくらの心は削られ、世界の