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家が火事になりました

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2020年2月10日に家が火事になりました。火事が起きる確率は、0.04%と言われています。でも起きてしまえば100%。突然、大混乱が始まります。何が起きて、何にを感じたか、いつ…
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2020年4月の記事一覧

燃えた家を壊す前、子どもたちは壁いっぱいに落書きをした。

 2月の初め、火事という非日常を経験し、そのことを書いていたら、別の非日常が始まった。それから僕はずっと緊急事態を生きている。非日常とは普段とは違うことが起きるわけで、そこで考えた由無し事でも書き留めておけば、後から役に立つかもしれず、書き続けることとする。  火事になって2ヶ月がすぎた。家の中は、ダイニングテーブルからピアノ、蒐集していたCDに至るまで、まるっと燃えてしまった。 燃えた家との別れ。 あの家には名前がある。設計をしてくれた建築家の友人が名付けた。コトリとい

火事にあい、物への執着がなくなった話。

 火事になって思うようになった。人生に本当に必要なものは、実は少ない。  先日、火事になった家から、燃え残った物を搬出した。というのも火事で家財のほとんどを失ったが、1階の僕の書斎はほぼ無傷だった。たった2畳の小さな部屋には、とんでもない量の物があった。大量の本。DVD、CD、MD、ポラロイドカメラ、登山用のステッキ、針金、書類、ケーブル各種、缶バッジ、何種類ものイヤフォン、パンク修理セット、頂き物の香水とか缶バッチとか....書き出せばキリがない。そのとき、自分でも驚いた

仲間がいなかったら、僕の心は折れていた。

 助けて欲しいって、言うのはすごく難しいことです。人に弱みを晒すようだし、どこからか「自分でなんとかしろよ」って声が聞こえてきそうです。でもそれが言えるか言えないかで、人生は大きく変わります。僕の場合、ひょんなことから「助けて欲しい」と言うことができました。そして沢山の人たちから助けてもらいました。  災難は、突然訪れます。僕の火事もそうでした。日常が一瞬で暗転します。突然、住むところがなくなって、着るものも、お気に入りのマグカップも、子どもたちのぬいぐるみも、全部なくなり