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家が火事になりました

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2020年2月10日に家が火事になりました。火事が起きる確率は、0.04%と言われています。でも起きてしまえば100%。突然、大混乱が始まります。何が起きて、何にを感じたか、いつ…
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2020年3月の記事一覧

燃えた家が、みんな大すきだった。

 嘘みたいな本当の話なんですが、家が火事になりました。今から3週間前のことです。今は知人のご厚意にあまえて「仮住まい」をしています。  家族にとって、家はただの「箱」ではありません。雨風から守ってくれるのはもちろん、家族の歴史を共有してきた、心の拠り所のようなものです。特に子どもたちにとって、育った家は特別なモノなんだ、ということを今回の火事で痛感しました。  燃えた家は、14年前に友人が設計してくれた戸建住宅。長男が幼稚園の年長で引っ越して、長女と次女はここで生まれまし

毎日がクリスマスみたいだね。

 ウソみたいな本当の話ですが、3週間ほど前に家が火事になりました。  火事になってからの毎日、それは「失ったもの」に気づき続ける日々です。  初日は、靴でした。  僕は「渋谷のラジオ」というコミュニティFMの番組「渋谷のテレビ」でパーソナリティをやっているのですが、あの日、火事のことを最初に伝えた友人は、xそこで一緒に出演している日本テレビの土屋敏男さんと@EKIDEN_Newsの西本武司さんでした。  出火したのは朝8時頃でしたがそれからは怒涛のような1日でした。会

へその緒と、アベンジャーズ。

 ウソみたいな本当の話なんですが、家が火事になりました。誰かの役にたてば、と火事の6日後から書き続けています。  あの日からまもなく4週間になろうとしています。今日は消防士さんのことを書きます。お世話になったのは東京消防庁の杉並消防署のみなさん、まさに「心優しきアベンジャーズ」でした。  出火したのは朝8時頃、僕はすでに外出していました。連絡をうけて家に戻ったのが8時半すぎだったと思います。それから日が暮れるまでの間、消防士さんと一緒にいました。  消火活動って、燃えさ

いっそ、泣いてしまえば楽になるよ。

 火事からちょうど30日が過ぎました。  今日は自分のことについて書いてみようと思います。  火事になってから、辛いでしょう、泣いてもいいよ、っていわれることがあります。つらいでしょ、とか、がんばらなくていいよ、とか、ぐちゃっとなってもいいよ、とか。つまりは、大変な目にあって、心も傷ついただろうし、さぞかしつらいでしょう、泣いてもいいんだよ、ということです。特に僕の場合、涙もろいくせに、強がりで、弱みを見せたがらない、そういうタイプだから、そういう気遣いを相手にさせてしま

愛おしい日常を残したい。

 火事になってから、何かに突き動かされるように撮影を始めた。これまで何気なくやり過ごしてきた家族との日常、それを撮り続けてきた。しかしずっと疑問だった。なぜ火事をきっかけに写真を撮るようになったのだろうか。  noteに上がってたワタナベアニさんの文章にハッとした。答えが書いてあった。 あの日以来、家族との日々を書き続けている。  火事になってしばらくは憔悴するような日々だった。非日常の連続でヘトヘトに疲れ果ていた。火事から6日目、僕は意を決して、noteに事の顛末を書

サイレンの音。

 火事にあってから、こどもたちと過ごす時間がふえました。一緒に宿題をしたり、料理をしたり、プールにいったり…。会社から有給休暇をもらってしばらく休み、その後も世の中の流れ的にテレワークみたくなり、家にいる時間がなんだかんだと増えたからです。娘2人は、箸が転んでも可笑しい年頃なので、日々バカなことをいって笑いをとって、心の中で小さなガッツポーズをしつつ、でも同時期父親の威厳を失墜させつつも、極めて平和に過ごしています。  でも、ドキッとすることもあります。  先週の土曜日。

悪い大人ほど、よく笑う。

 金髪で大きな口をあけている大人と、全身黒尽くめにサングラスの大人。どうみても悪い大人じゃないですか。でもめっぽう面白いんですよ。サングラスの大人は、ワタナベアニさんです。最近話題の本「ロバート・ツルッパゲとの対話」の著者にして、写真家でありアートディレクター。今日の「渋谷のテレビ」に遊びにきてくれました。  土屋敏男さんの作った、欽ちゃんのドキュメンタリー映画「We love television?」の写真を撮っていることもあり、独特の強面が脳裏に焼きついていました。そし

うがいをすると、黒い煤が混じっていた。

 火事にあったことを書いていけば、いつかきっと誰かの役に立つ。そう思って僕ら家族が体験したことを書き綴っています。  あの日からすでに1ヶ月以上が過ぎました。その時に家にいたのは子どもたち、今でも話していると、ドキッとすることをいいます。一昨日、18歳の長男はこんな話をしてくれました。 「あの日、いろいろ落ち着いてさ、うがいをしたら黒い煤が混じってたんだ。鼻をかむとしばらく鼻水にも煤みたいなのが混じってたんだよ」  あの日、火事になった家に最後までいたのは長男です。第一

始まりは、小さな火だった。

 火事になって家が焼けてしまいました。幸いなことに家族は全員怪我もなく無事でした。1ヶ月がすぎ、ようやくご近所へご挨拶にうかがうことができました。隣家の方々で在宅されていた方のお話を聞くと、僕も知らなかったような事実を改めて知りました。  驚いたのは、火のまわりの早さ。  火事があった直後のことです。隣家の方が、なにかパチパチ音がすると思い、窓から僕の家を覗き見たんだそうです。すると僕の家の窓の向こうに、小さな火が見えたんだそうです。あ、これは危ないと思って水をかけようと