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人生の第二幕が始まった日

「自分の人生取り戻した!!」

新幹線のベルが鳴り響く新神戸駅のホームに降り立った瞬間、この感覚が込み上げてきた。

まだ幼い息子を連れて、夫と暮らしていた家を出てきたのだ。

置き手紙1枚残して。


駅から外に出たら、全ての景色が光に満ちて見えた。

ホテルにチェックインして、街を少し散策した。

その日は朝からスリル満点の大冒険だったので、興奮気味な息子。
夜寝てくれるか少し心配だったけど、ちょっとだけ愚図ってスヤスヤ寝てくれた。

夜が更けてから、神戸に住んでいる友達がホテルに遊びに来てくれた。
数年来の再会だったので、お互いの話に花が咲く。

そんな時、夫から留守番電話が入った。

自分で聞くのも怖かったので、友達に聞いてもらった。
留守電を聞きながら、彼女は顔をしかめた。
自分でも聞いてみたけど、それは予想もしない内容だった。

「戻ってきてくれ」でも「息子を返してくれ」でもなかった。

その電話で、私はやっぱり出てきてよかったのだ、と思えた。

放浪生活の始まり


次の日、ゆったりと朝食をとり、ホテルをチェックアウトした。
次に向かうのは、九州。
熊本に住んでいる友達を訪ねた。

私達母子は、移住先をさがしていた。

元々旅行好きだった私だけど、息子が生まれてから、いや、結婚してからほとんど旅行することはなかったから、良い機会とばかりに3か所を回ることにしていた。

熊本では、友達と女子旅をして、飲んだくれて、息子もかわいがってもらえて、楽しい時間を過ごした。

その後は香川に住んでいる友達を訪ねた。
一足先に母子で移住していた友達の暮らしを見て、話しを聞いたことはとても参考になった。

最終目的地は、徳島にある母子シェアハウスだった。

徳島の田舎町で電車を降りた私達は、駅から少し歩いてそこに着いた。

息子は天性の社交家だったので、シェアハウスに着いてすぐに他の子ども達と遊び始めた。

緩いつながりで、みんなで助け合って暮らしているその家の雰囲気に、私達母子はすぐになじんでいった。

その後、いろんなご縁が繋がり、徳島への移住を決めたのでした。

<つづく>

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