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愛着はあるけど、執着しない。未来創造プロジェクトにかける思い。当時、人生二毛作目の12歳。

黒船と言われたiPhone上陸後、ケータイ(ガラケー)の商品企画を担当していた僕は断崖絶壁に追い込まれた結果、越境と共創で新しい価値創造に挑戦し続けました。しかし、黒船のiPhoneには対抗できず、ケータイ事業からの撤退を余儀なくされ、そして、僕は異動してNECのブランド戦略を担当することになりました。

ケータイの商品企画からブランド戦略担当に

2000年からケータイの商品企画や商品戦略、マーケティングを担当。一時期はトップシェアを獲得するなど好調な時期もありましたが、商品は生き物と同じで寿命があり、最終的に黒船と言われたiPhone上陸後、スマホシフトが一気に進んで2013年にNECはケータイ事業からの撤退を余儀なくされました。それまで13年間、ガラパゴスと言われたケータイ業界に在籍し続けたため、NECグループの他事業をほとんど理解していないにも関わらず、NECのブランド戦略を担当することになりました。

この経験は2度目。入社した会社でワープロの商品企画を担当したものの、Windows95の発売と共にパソコンへのシフトが一気に進み、ワープロという商品と共に入社した会社も解散となりました。運良く、ケータイ事業部門に転籍ができ、拾ってもらった恩返しをすべく、全力で取り組みました。

ケータイ事業から撤退してNECグループに大きな負担をかけてしまった僕がブランド戦略を担当する意義を考えました。成功体験を語られることは多いですが、僕にできることは失敗体験を伝えること。失敗体験を活かしながら、NECが「中期経営計画2015」で掲げた「社会価値創造型企業への変革」へのリブランディングに取り組みました。

愛着はあるけど執着しない

ブランディングを担当する中で主に担当していたのが「NEC Vision」プロジェクト。2年間プロジェクトマネージャーとして牽引して、チームメンバーへの引き継ぎの目処が見えていた2017年の年末。自分の中ではNECの中で貢献できることはやりきったという達成感・充足感もあり、このまま在籍し続けることが次世代の台頭の妨げになるだろうとNECからの卒業に向けて転職活動をしていました。NECに愛着はあるものの、執着はしないという気持ちでした。

最後の仕事として取り組んだ「2020中期経営計画」の策定・公開も終えた2018年2月、1年目を終えようとしていた「NEC未来創造会議」をNECグループ社員を巻き込んだ活動にするために貢献してほしいとの打診がありました。誰かのプロジェクトを引き継ぐのではなく、まったく新しいプロジェクト。まだ、貢献できることがあるのであれば...という思いというか覚悟を抱いて「未来創造プロジェクト」のプロジェクトマネージャーを引き受けました。覚悟と書くと大げさに聞こえるかもしれませんが、転職と未来創造プロジェクトのどちらを選択したとしても「次世代が活躍して、新しいNECに変革する」という思いが根底にあり、新しいNECを見せることにこだわろうとしました。

NEC未来創造会議と未来創造プロジェクト

AIの能力が人の能力を超えると言われるシンギュラリティ後の2050年に“人が生きる、豊かに生きる”未来像を構想するNEC未来創造会議。2017年からスタートして最初の1年目は国内外の有識者による議論がされました。

国内外の有識者が議論するだけでなく、NECグループ社員を巻き込んだ活動にすることを命題として任命された未来創造プロジェクトどうして自分が任命されたのか?と自問自答を繰り返して辿り着いた理由が「自分らしさの発揮」。これまでの越境・共創活動を通じて得たノウハウを余すことなく導入し、公開オーディションによるメンバー公募、プロジェクト十箇条、こっそりバディ、ワークショップ、スペキュラティブデザイン、身近なヒーローによる分科会などを通じて、プロジェクトメンバーと共に2050年に“人が生きる、豊かに生きる”社会像のコンセプトとして「意思共鳴型社会」を導出しました。未来に向けた夢を発見し、共鳴する仲間と集う。紡がれた物語を知って、誇れる未来へ仲間と挑戦する社会像。

公開オーディションを通じて集まった未来創造プロジェクトメンバー。バーチャル組織でありながら一体感のあるプロジェクトメンバーと共に活動を振り返ったインタビューがWIRED日本版に掲載されました。記事の最後は以下で締められています。

2017年に始まった、NECの新しい取組み「NEC未来創造会議」。2年目が終わったいま、その成果はまだ具体的にはないかもしれないし、プロジェクトメンバーのような未来志向の意識をもつ社員は、NECにおいてマジョリティではないかもしれない。しかし、導き出された2050年のコンセプト「意志共鳴型社会」が、彼らの行動から始まっていくのは間違いないだろう。

愛着はあるけど、執着しない。未来創造プロジェクトにかける思いから学んだこと。

2018年度から担当している未来創造プロジェクトも今年で3年目。愛着はあるけど、執着しないという考えは今も同じ。次世代による新しいNECへの変革が進むように一日一日を過ごしていく。


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