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デザインはDe+Sign。当たり前を再定義すること。当時、人生二毛作目の0歳。

2008年7月、黒船と言われたiPhoneが上陸して、ケータイ(ガラケー)の商品企画をしていた僕は徐々に断崖絶壁に追い込まれ、「越境」や「共創」に光明を見出そうとしていました。断崖絶壁に追い込まれながらも思考を転換できた背景には大きな存在がありました。

5人の恩人の一人、佐藤敏明さん

僕には5人の恩人がいます。その一人が東芝→ソニー→NECと渡り歩いて、Nケータイのデザインを統括していた佐藤敏明さん。2006年にNECに合流。当時、Nケータイのシェアが低下。V字回復をすべくヘッドハンティングされ、最初に手掛けたのが僕が商品企画を担当していたN903i。従来のNECの文化にはなかった佐藤敏明さんの斬新なアプローチでN903iはサマンサタバサとのコラボモデルを限定発売するなど、見事にシェアをV字回復することに。

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遠回りして本質をデザインする

佐藤敏明さんの素晴らしさは、Nケータイのデザインを変えるために、成功の循環モデル同様に遠回りのアプローチを採用した点。「環境のデザイン→人のデザイン→プロダクトのデザイン」という遠回りのアプローチをしました。

成功の循環モデルでは「関係性の質→思考の質→行動の質→結果の質」の順番でそれぞれの質を向上させていきます。起点は「関係性の質」。ビジョンの共有などにより関係性を高める結果、思考が変わり、行動も変わって良い結果が得られるようになる。そして、さらにお互いの関係性も高まる。
結果の質を高めるために結果を起点にしてしまうと、現状の結果の原因追求で責任を押し付け合って関係性が悪くなり、個々人の思考も行動も停止してしまい、結果はさらに悪くなる。さらに関係性も悪くなり、負のスパイラルに陥ってしまう。

佐藤敏明さんは「環境のデザイン→人のデザイン→プロダクトのデザイン」というプロセスを採用しました。当時、デザイン部門、商品企画部門、技術部門は別々のフロアに在籍し、会議の時だけ交流するため、会議ではお互いに自部門の主張を押し通そうとするのが常でした。そのため、デザイン部門のフロアをリノベーションして、デザイナーだけでなく、誰もがいつでも自由に入れるフロア「Creative Studio」に一新しました。各部門の担当者がCreative Studioで気軽に話し合うことで、牽制し合う関係から共創関係に変化していきました。一人ひとりのマインドも変わった結果、プロダクトデザインのバリューが向上したことは言うまでもありません。

一番のポイントはデザイナー主導でプロダクトデザインのバリューが向上したのではなく、全員が主体的に参画することでバリューアップした点でした。

Design=De+Sign。当たり前を再定義する。

佐藤敏明さんとの出会いを通じてデザインはデザイナーが担当するものという従前の考え方が180度転換しました。同様に商品企画も同様。パラレルで動くのではなく、それぞれの担当者が主導するものの、全員がプロセス全体に関与することで「自分事=自分たち事」にすること、つまり、共創によって価値づくりすることを学びました。

佐藤敏明さんは「デザインとはDe(否定)+SIgn(符号)。当たり前を再定義すること」と繰り返してメッセージしていました。当時、表層的なデザインしか着目していなかった僕ですが、デザイン自体の考え方を再定義できた出来事でした。

デザインを通じての学び

デザインとはDe(否定)+Sign(符号)。当たり前を再定義しながら本質に近づく作業。


佐藤敏明さんとの出会いは2006年。僕が34歳の時。人生100年時代、人生三毛作。人生二毛作目の0歳の時。このように振り返ってみると、佐藤敏明さんとの出会いを通じて僕の二毛作目がスタートしたんですね。

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