生活の力
こんにちは。勝山オレンジクリニックの池口です。
訪問診療での一コマを紹介します。
ある高齢女性の訪問患者さん、山奥で一人暮らし。集落も一人のみ。
「最近膝の調子はどうですか?」
「痛くない、大丈夫」
残薬を確認すると、痛み止めのお薬はだいぶ残っています。
すかさず、診療のときにいつも来てくれるご家族から
「でも、本人はよく『家の中歩くのも大変』って言っているんです。」
んー。痛いのを忘れてるだけなのか…
話は変わって、家の前の畑の話になりました。
現在作物は作ってないけど、広大な畑に大きく茂ったススキが半分くらい綺麗に刈られています。
「こんなに綺麗にどうしてるんですか?」
「私が毎日ちょっとずつ手と鎌で刈っている」
え……!!
「あと、坂道下って入り口のところから畑まで行くの大変だから、そこの石垣(写真)から上り下りしてる🧗」
ええっ!!
底力。この方の生活に根付いたベーシックな力。
「困ってない」「こんなことが大変」
暮らしやその人の人生によって変わることを感じさせられます。
診察室での話だけだったら、
薬の飲み忘れをなんとかする、という方向に頭が向かっていたかもしれません。でも綺麗に刈られた畑とこの石垣を見ると、そうではないな、と。
「痛かったら飲んでもいいし、痛くなかったら今のままでいいですよ〜」
と心からそう伝えられます。
帰りは家の前で両手を(時には両手に木の枝を持って)大きく振りながら、
大声で
「ありがとのー!また来てのー!」といつも言ってくださいます。
こちらもたくさん元気もらっています👍
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