見出し画像

嘘グルメ第28話『潜水艦』

私が潜水艦乗りになったのは十代の頃でした。海上自衛隊の中でも、潜水艦のチームはスパルタで有名でした。何度も辞めたくなりましたし、そのあまりにも厳しい訓練に、毎日毎日上官に向かって「もう殺せ!!殺してくれ!!」ってお願いしてましたからね。

潜水艦の最大の特徴は「隠密性」です。海底スレスレに進み、敵陣の近くになったらギアをトップからニュートラルに入れて、エンジンを切る。そのまま余力で進みます。するとスーッと無音で相手に近付けるって訳です。その特性のせいか、潜水艦乗りたちはプライベートでは物凄く静かなんですよ。喋らず、足音もたてず、ラーメンや蕎麦を食べる時も音を立てずに食べます。そう訓練されていますから。でもある時、ドリフを見てたら海の家のコントでカトちゃんと志村さんがラーメン食べるときに、ヤクザが入ってきて二人の周りに座りだすんですよ。ビビって二人はラーメンを音をたてずに食べて最後に「ラーメンって音たてずに食べたら全然うまくねーなぁ」みたいなコントがあったんですけど、俺らそれ毎回やってんだけどって(笑)さすがにその時は大声で笑いましたねー(笑)

そんな厳しい訓練でもやめなかったのは毎週金曜日に出てくる潜水艦の料理が美味しかったから、これに尽きます。

潜水艦は海深く潜って最高で1トンもの水圧がかかるんです。その水圧で身がギュンギュンに締まってるから、めちゃくちゃ美味しくなるって訳です。頭の部分や船底や羽根も美味しいんですが、潜水艦で最も美味しいとされている部位は「覗くとこ」なんです。あそこが一番動くから、身の締まりが他とは一味違うんですよ。まずは覗くとこについている硬い皮を剥がす。茹でてから包丁で切れ目を入れるとスーッと皮が剥けるんですよ。皮を剥くとプリっプリの身が顔を出します。そのまま醤油だみんりだ入れて煮込む「覗くとこの姿煮」なんかも美味しいんですが、身を開いて包丁で細かく切れ目をザクザクと入れて骨切りをします。全体に切れ目を入れたら、ひとくち大に切る。それをあらかじめ用意しておいた氷水に入れて身をグッと締めます。そしたら大葉を敷いた皿に盛る。そして梅肉をつけて食べてみてくださいよ。これが美味いんですよ(笑)

毎週金曜日に出てくる潜水艦料理は、ずっと潜っていると失われがちな、潜水艦乗りの曜日感覚を保たせる為だと言われている。…これは言わないで下さいと言われたが、魚雷ミサイルもとびきり美味いそうだ(笑)

「潜水艦の覗くとこの湯引き」

材料 2~3人前

潜水艦の覗くとこ 400g

塩 少々

梅干し 3個

A 酒 大さじ1

A 醤油 大さじ3/2

A みりん 大さじ3/2

作り方

1.骨切りした覗くとこを、ひとくち大(2~3cm幅)に切る。

2.カットした覗くとこを塩を加えた熱湯で15秒ほどくぐらせ、氷水であら熱が取れるまで冷やし、ザルに上げ水気を切る。

3.梅干は種を取り除いて包丁で細かくたたき、Aの調味料で味付けを行い梅肉ソースを作る。

ポイント・コツ
湯通しの時間はあまり長くしないのがオススメです♪

※本文に出てくる料理は全部、嘘です。

嘘グルメを書籍化したい!その為のサポート宜しくお願い致しますm(__)m