見出し画像

オンラインで付箋ワークは必要なのか?を考えてみる

オンラインミーティングやオンラインワークショップでmiroMuralといったオンラインワークスペース/コラボレーションツールを利用しているケースを見かける機会が増えてきました。
これらのツールの機能は「付箋」が主体となっているように思われますが、実際に利用しているシーンで参加者の様子を見ていて思うのが「付箋ワーク」に対する違和感でした。
オフラインで付箋を使う場合は付箋を手に取って言葉や絵を書き込んだり、貼ったり剥がしたりしているわけですが、オンラインの場合になぜわざわざ付箋を模したオブジェクトを使ってアウトプットしているのか。
そんな付箋ワークについての疑問を持っている時にちょうど舘野先生のツイートを見かけました。

オフラインの場において付箋を使っていたので、その代替手段として付箋ワークを再現できるオンラインツールで使っているケースが多いかと思われますが、そこで生じた違和感を確かめるために、オンラインにおける付箋ワークについて考えてみたいと思います。

そもそもなぜ付箋を使っていたのか?

まずはこれまでオフラインの場で付箋を使っていた理由を確認してみます。
主立った理由としては以下のような点でしょうか。

・発言しづらい場合でも文字や絵を書いて意見を出しやすい
・出された意見を整理しやすい(グルーピングや配置変更)
・貼る、剥がす、捨てる、というアクションを実行しやすい
・色、形、サイズのバリエーションがあり、参加者の行動を誘発しやすい

良くも悪くも、目の前に付箋とペンが用意されていると、「何か書き出すのだな」という気持ちになるので、参加者にその場に向き合う気持ちにさせることはできると思います。
(逆に付箋ワークに飽きている人もいると思うので、その点を留意する必要はあると考えています)

付箋を利用したことがある人は分かると思うのですが、付箋は多くの場においてアイデアを書き出し、整理するためのツールとして認識されていて、それが場にあることで参加者の思考・行動を誘発するために使われているように思います。
紙やホワイトボードに書いてみましょう、よりも付箋の方が書き出すハードルが低く感じるのはそのサイズと手元で書けるという心理的な安全性からかもしれません。

付箋に意味がまとめられてしまう懸念

そんな強力なツールではあるのですが、付箋を使うデメリットもあります。
その場における付箋の使われ方、またファシリテーションによって変わるものではあるのですが、付箋に書き出された言葉や絵に意味がまとめられてしまうことがあります。
例えば、その場において複数人で対話がなされていた場合、付箋に書き出さされるまでのプロセスやコンテキストがあるはずですが、多くの場合はそれらのプロセスやコンテキストは付箋には書かれず、まとめとしてのアウトプットが書き出されます。
もちろん、その対話の中で気になったワードや気づいたことが書き出されることもあるのですが、対話しながら書き出すという行動を起こすためには、それがルールとして設定されている、またはそれを促すファシリテーションが必要となります。

付箋は個人的にはとても好きなので、様々な色、形、サイズを揃えて多くのシーンで利用してきましたが、そのデメリットとなり得る点についてはオフライン/オンライン問わずに留意しておきたいところです。
以下の記事も共感しながら読んでいましたので、ご参考までに。

オンラインで付箋ワークに代わるものは何だろう?

これまで付箋を使っていた理由や留意点を踏まえつつ、オンラインで付箋ワークに代わるものは何だろう?と考える時に、二つの側面に分けてみました。

【機能面】
テキストとして書き出して、整理することができる。アーカイブすることができる。
・Google スライド/スプレッドシート/ドキュメント
・Notion、Dropbox Paper、等
・zoomのチャットに書き出す(その後、別途整理は必要)
【感情面】
普段使うことのない特別なツールであること、そのツールのビジュアルやインタラクションによってモチベーションが上がる。
・参加者の手元に付箋を用意して書き出してもらう
・miroやMuralのようなオンラインホワイトボードツールを使う

機能的な面のみで考えれば、その他のオンラインツールで代替は可能だとも言えるのですが、感情面を含めて考えると、参加者がその場に向き合うためにmiroやMuralのようなビジュアル的にモチベーションが上げるツールは効果的ではないかと思われます。
ただし、たんにツールを用意すればいい話ではなく、そのツールを導入・利用するための準備や設計、またその場の目的に適したワークシート(テンプレート)があることが前提と考えています。

ツールの問題ではなく、場の設計とファシリテーションが課題

ここまで考えてきて思うのが、「オンライン上の付箋ワークの体験」の違和感としては、たんに付箋の代替となるツールを用意して、オフライン同様に付箋ワークを行うことが多く見られるようになっていること自体が違和感ではないかと思っています。
オンラインという場であるにも関わらず、なぜオフラインと同様に付箋ワークを行っているのか?
オンラインという場に適した手法があるのではないか?
オフラインの体験に縛られているのではないか?
つまりはツールの問題ではなく、オンラインに適した場の設計とファシリテーションが必要なのではないかとうことです。

私自身、オンラインミーティング/オンラインワークショップの場は継続的に実施していますが、まだまだツールに囚われていると感じています。
ツールの機能を余すことことなく活かして作り込むのもよし、デジタルとアナログを使い分けるもよし、そういった複数の選択肢を持った上で適宜使い分けることで、オンライン上の体験価値をより高めることができるように考え続けたいと思います。

2020.6.28 追記
専修大学の上平先生のブログ記事も参考として置いておきます。


コーヒーを飲みながら書いていることが多いので、サポートいただけたらコーヒー代として使わせていただきます!