私的読書感想文 燃えよ剣

燃えよ剣 上下巻 司馬遼太郎

新撰組、中でも土方歳三にスポットを当てた作品。
恥ずかしながら、新撰組と言っても、幕末に京都で、めっちゃ人を斬ってたという知識しかなかった。
今さらですけど、明治維新は面白いですね。
以前読んだ城山三郎著『雄気堂々』の渋沢栄一ともリンクしてくる。

新撰組の局長・近藤勇、副長・土方歳三、一番隊長・沖田総司ともに同郷(武州・多摩)、同門(天然理心流)。
佐幕派(徳川幕府を守る)と倒幕派(徳川幕府を倒す)があり、佐幕派の代表格が新撰組が仕える会津藩で、倒幕派の代表格が長州藩となる。
天皇が京都にいたので、天皇を持ち出して新政府を立ち上げようとする長州と、その暗躍を人斬りによって防ぐ新撰組の激闘に次ぐ激闘。
蛤御門の変(天皇を拉致しようとした戦い)では、長州を叩きのめした新撰組だったが、その後、鳥羽・伏見の戦いで銃や大砲を駆使してくる薩長に完敗。
大阪城に戻って決戦をと思ったが、徳川慶喜に全く戦う気がなく、関東へ逃亡。
場所を江戸に移してもうひと勝負と思ったが、徳川慶喜が江戸城を無血開城。
戦いの場を北へ北へ移して行き、最後は函館の五稜郭でジ・エンド。

京都では誰よりも刀で人を斬った土方だが、銃や大砲を使った新戦闘様式に苦杯を舐めた。しかし、ここからは生まれ持っての喧嘩屋の性か、新戦闘様式をあっという間に自分のものにする。
当時、軍事顧問としてついていたフランス将校も舌を巻くほどだったという。

江戸城から北上していく際に、近藤勇は捕らわれて(自首のような形で)斬首、沖田総司は病のために死別。
旧友であり同士を失った土方は、死に場所を探しに、北へ北へと進んで行ったようにも見える。
五稜郭で散る時は、まさにラストサムライのような壮絶な死に様だった。


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