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#30 トラブルー at 空港 (ブエノスアイレスでの出来事)

【前回までのあらすじ:2013年。35歳ヒモ男がバツ2となりホームレスに。行くあてもなく先輩経営者a.k.aアニキに泣きつくと世界一周の旅に放り出されることに。4ヶ国目のアルゼンチンのフィッツロイのトレッキングを終え僕は次の目的地"イグアスの滝"を目指した。】

 フィッツ・ロイで朝日を浴びた後はキャンプ場まで戻り荷物をまとめると早足で麓まで降り、エルカシオン行きのバスに滑り込んだ。

 旅をしていると僕のような“セッカチ、短気、マイナス思考”はつくづく旅に合わない性分だと思わされる。
 些細なトラブルでカチンとするし、時間通りに進まず足止めをくらう程度で凄く凹んでしまう。
 
 逆に、旅に合う人はどんな人か。
「どうにかなるさー!リラックスして気長に行こうぜ!さぁ一緒にこのトラブルを楽しもうじゃないか!」
となる人である。

 僕とは真逆なタイプの人間だ。
 さて、次の目的地はイグアスの滝。翌日18時半の飛行機でエルカラファテからブエノスアイレスまで飛行機で飛ぶことにした。ここの区間、バスだと40時間。セッカチな僕には無理な話しである。
 早速宿をチェックアウトしようとパッキングをしていると鼻をノックする酸っぱいスメル!洗濯物が溜まっているではないか!!この日から次に洗濯ができるほど連続で滞在する宿までは3日以上ある。つまり暫く洗濯物は出来ないということだ。こういう計算も旅には必要だ。

街のランドリーへ走る昼の11時。店主に聞くと出来上がりは早くて18時とのこと!

遅い!!15時半にはバスで空港へ向かわなくてはいけないのだ。

とりあえず値段を聞くと3日分程度の洗濯物で35ペソ(2013年4月時点で約500円)

高い!(←今思うと激安)

出そうか迷うも仕方ない。カウンターの奥に溜まっている"その他の洗濯物"を横目に見ながら、勝負に出ることにした。

「60ペソ(900円)払うから、13時に仕上げてくれ!」と交渉。

ユニバーサルスタジオのエクスプレス方式で学んだ技である。あれを見た時、ユニーバサルスタジオが嫌いになったが応用の価値はある。

金を積めば優先されるのが世の常だ。

僕のイヤらしい提案を聞いた店主は


「オッケー♪」

と快諾。僕のスッパイものを受け取ると"その他の洗濯物"上空1mを飛び、すぐさま洗濯機にぶち込んだ!

 出来上がりを待っている2時間を近くのカフェで待つ。その間に僕を旅に出しているアニキとチャットなど(もちろんチリで会った麻美ちゃんとも連絡し旅の状況などを確認)。

これで200円ぐらい


アニキから色々とご指導を受ける。
特急で仕上がった洗濯物を受け取って、


いざ空港アンド上空へ!

最高だったパタゴニア地方!僕はどこまでも続くキレイな大地を眺めながら強く思った。

この距離、まーじでバスじゃ無理!

まずはブエノスアイレスの空港に21時半到着。次は飛行機に乗ってパラグアイのアスンシオンという首都に行く。翌朝6時半に飛び7時半到着予定。

そのままバスターミナルまで行き、ブラジルビザを取りにエンカルナシオンという街まで南下するのだ。(2022年9月現在、日本人はブラジル入港区の際はビザ不要)

とにかくフライトは明朝だ。僕は空港でビールを飲み、ご飯を食べた

900円ぐらいっぽい。金ないくせに良いもん食ってたようだ。


その後は、本日の宿へとチェックイン。

やはり金は無かったようだ。

ホルヘ空港。久々の床は硬かった。しかし無料なので文句は言えない

4月2日 4時半起床!結構寝れたし!おーし!パラグアイへ羽ばたこう!
チェックインカウンターでチケットを見せると、セニョリータが

「こっちじゃない」

という。あれ?航空会社間違えたかな?チケットを確認する。やっぱりアルゼンチン航空だ。

「ここ国際線カウンターじゃないの?」

と聞く。するとセニョリータが言う。

「こっちの空港じゃない」

え????

ん????

混乱した。

どうやら、ブエノスアイレスには二つの空港があるらしい。僕が乗る場所は、エセイサ空港

で、

ここはホルヘ空港ということだ。

リアリー?

そんなのアリー?

 あれか?つまり成田と羽田の違いみたいなもん?それ、エルカラファテで言ってくれない?
 こういうトラブル中のトラベル。いやトラベル中のトラブルにめっちゃテンパる。
 聞くところによると、タクシーでいけば50分くらいかかるが、まだギリ間に合うとのこと!早朝4時半にダッシュする僕。大雨の中タクシーをつかまえる!

「急いでくれ!」

 タクシーの運ちゃんは僕のドジっぷりを笑いながらエセイサ空港へ、アクセルを踏み出すも途中前が見えないほどの激しい雷雨でおっかない!

270ペソ!(約4000円!バカヤローー!)

これパラグアイまでバスで行ける値段じゃねーか!!無事到着!ぎりぎりチェックイン間に合う!おしっ!さぁ行こう!パラグアイ!

が、

まさかの遅延!タクシー急がせてゴメン!

1時間経っても飛ばず。するとアナウンスが流れて皆が集まりだした。

ワイワイガヤガヤやってるではないか!英語が話せるやつを捕まえる。

なんと、欠航になったらしい!

確かに、雨強かったもんなぁ〜。なんて言っている場合ではない!

ガビーーーン!!!!!

どーすんの?!?!やばいって!!これじゃイグアスの滝、行ける時間なくなるし!!予定ではもうパラグアイに入ってる時間なのに。

まさかの滝キャンセルか??皆で途方に暮れていると、

アルゼンチン航空の人が戻って来て言う。

「今からホルヘ空港へ案内します。」

そこ、さっきまで僕がいたとこ!!

床が硬いし電源コンセントないし、あまりオススメの宿じゃないとこ!

というわけでホルヘ空港に戻り代替え便待つ。
空港行ったり来たり寝たりで16時間。これ昨晩、ブエノスの街からバスに乗って僕の目的地、エンカルナシオンに向かってたら着いて一服してたな。。

幾度と無く止められる足、自分のセッカチを嘆き悲しみ、予想外のトラブルに遭い、スタッフの対応の悪さに激凹むも、ここは言葉も通じない南米アルゼンチン。

人の優しさは僕に届かない。

そう、ここはブエノス愛レス

空港の効き過ぎる冷房の中、身を丸めて次の便を待つカツオ。


16時の便に振り返られ、ゲート前で待つも時計に目をやるとすでに17時半。アナウンスはまだ流れない。

掲示板に映し出される赤い文字、Delay(遅延)

飛行機を待つ乗客は朝からたらい回しにされ文句をいう気力がある奴は誰一人も残っていなかった。

昨晩ブエノスアイレスの空港に着陸したとき、乗客は一斉に拍手をした。何事か?と思い聞いてみると南米では飛行機の着陸とともに、よく拍手をするらしい。

プラスな感情の団結は嫌いじゃない、感じる動きと書いてカンドー。皆のリズムに合わせてクラップマイハンド。

それから21時間後の夕方6時、アナウンスが流れた。

「アスンシオン行きはキャンセルになりました。」

マイナスな感情の団結!

皆、立ち上がる!怒鳴りまくる!切れまくる!南米のブラザー、いやアミーゴたち!オレもついていくぜ、A-Boy(Airport boy)かつお!

いつもは女性に激優しい南米の男性が女性スタッフがいるカウンターに集まりバンバンとカウンターを叩く!

文句をいう人々と、カウンターに集まる航空会社の受付スタッフ

言ってることはさっぱり分からないが、とにかくキレているのだけは伝わる!

そーだそーだ!!正直オレも切れまくっていた!だったら朝の時点で言ってくれよ!!

もう明日の飛行機は満席だ。知っているんだ。なぜならば、朝6時の欠航の時点で本日16時の飛行機には全員乗れず、振り分けられたのだ。僕はどうしても今日中にパラグアイに行かなくてはいけなかったし、エルカラファテからの乗り継ぎ便だったため優先で今日の夕方便に回されていたのだった。

次に優先されるのは元々今の便に乗ろうとしていた人達だろう。

英語のできるヤツを捕まえて話をきく。すると、

ホテルの用意はなし!

ご飯のクーポンもなし!

明日は満席!明後日も満席!

代替えチケットもなし!

もちろん返金もなし!

当然、受付姉ちゃんとのエロもなし!

のナイナイ尽くし!

僕のような輩が他にも大勢いた。もう叫んでいる、カウンターを蹴る

皆で一斉に怒鳴る!ここは多勢に加勢!僕もワイワイガヤガヤやる。

するとだ、対応していた女性スタッフたちの顔つきが変わってきた。というか、マジで最初から態度悪かったけどね!!それが、さらに態度が悪くなり、しまいには一人の女スタッフがカウンターをトランシーバーでバンバン叩きだし、声の音量が大きくなってきた。

「飛行機もそこにある!パイロットもいる!だけど飛ばないのは、私達の責任ではなくパラグアイの空港のせいだ!」

だけど僕も引っ込んでられない!僕は、手を振り上げ言う。

「だけど、あまりにもこの対応は無い!せめてなにか補償をしてくれ!」

するとだ、その受付スタッフは

「私たちに責任はないと言ってるでしょ!!」

ガンっ!と机にトランシーバーを叩きつけたのだ。

こえぇぇ〜〜〜〜〜。

もう一言であの机が誰かの頭になるな。

僕の敏感なチ*コセンサーが即座に反応して、縮んだ。こういう”危ない人”に文句を言っても埒があかない。

もう旅をすすめるしかない。チケット代と空港移動のタクシー代がウンと勿体ないが仕方がない。

僕はその場でパラグアイ行きのチケットを破り捨て、出口に向かった。

何度も押されては消されるアルゼンチン出国のスタンプ。

さぁどうしようか。。

久々に空港を出て外を見回す。すっかり暗い。ブエノスアイレスに一泊したらもうイグアスの滝はキャンセルしか無い。

雨上がりの湿った空気を肺の中に入れ思考を巡らせる。

時計をみると夜の19時を回っていた。。。

やっぱり、あれしかねーか。僕は手を上げタクシーを呼びつけると

行き先を告げた。


「バスターミナルまで!」


大人しくバスでパラグアイを目指すことにした。

当時バスで16時間だったかな。

乗れるかなっっ!!??頼むから明日の朝までにエンカルナシオンまで連れて行ってくれ!僕はタクシーの中で祈るように願った。


note更新しています!
目標は週2,3回、、、、テーマは
【旅のこと https://note.com/katsuo81/m/mfbd38c989979
【読書ノート https://note.com/katsuo81/m/m7f3bc144e287
などなど。

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