バーテンダーめめ

1話 ここはビルの森に埋れ、地下でひっそりと営業しているお店「アイズBar」。このBarには今日も様々なお客様が来店されています。今、そこのカウンターに座っているのは、ブラックな会社で疲れ果てたサラリーマンの男だ。バーテンダーは、その男にお酒を提供する際、何かを男に向かってひとこと言った。それを聞いた男は、お酒を飲み干した後、清々しい顔をしてお店を後にし、それをバーテンダーは透かした顔で見送った。

2話 ここはビルの森に埋れ、地下でひっそりと営業しているお店「アイズBar」。今日も1人の女性のお客様が来店された。その女性は、大泣きしながら、なだれ込む様にカウンターの椅子に座り、テーブルに顔を伏せた。バーテンダーが声をかけると、スッと顔を上げる。顔は、化粧が崩れ、衣服はヨレヨレになっていた。その女性は、少し落ち着くと「オススメで!!」とバーテンダーに注文した。

3話 このバーテンダー、名前を「めめ」と言う。バーテンダーめめは、女性の愚痴に耳を傾けてながらお酒を作り始めた。女性は、男にひどい振られて方をして泣いていた様だ。めめは、カシスのリキュールをグラスに入れ、その後ソーダをグラスいっぱいまで注ぐ。「お客様、お待たせいたしました。カシスソーダです。」

4話 めめは、続けて話しだした。「お酒にはそれぞれ、花言葉や宝石の様に、いろんな意味を持っています。そしてカシスソーダの意味は[あなたは魅力的]。あなたは、魅力的な女性なのです。ですが、その涙では、あなたの魅力は霞んでしまいます。笑顔こそあなたの魅力だと私は思いますよ。」と言うと女性は、お酒を飲み干した。

5話 ここはビルの森に埋れ、地下でひっそりと営業しているお店「アイズBar」。今夜、ご来店されているお客様は、男性で喪服を来ている。その男は無言でカウンターの椅子に座ると、一息してから、「おすすめのお酒ってありますか?」と、めめに尋ねる。するとめめは、「ではお話を聞きながらお作りいたしますね」と言って、グラスを用意した。

6話 「実はですね、私の恋人が事故で、、、。」と、最後まで話すことができない男性。めめは、その男性の気持ちを察し、お酒を作り始める。男性はうつむき、涙をポロポロとこぼしていた。めめはそれを横目に、テキーラ、ホワイトキュラソー、ライムジュースをシェーカーに入れシェークする。そしてグラスの淵に塩をつけて、スノースタイルにする。そして、シェークしたものをグラスに注いだ。

7話 「どうぞ、マルガリータです。」とお酒を男性に差し出すめめ。そしてめめは、続けて話し出す。「お酒にはそれぞれ、花言葉や宝石の様に、いろんな意味を持っています。そしてマルガリータの意味は[無言の愛]。このカクテルは昔、亡くなった女性のためにバーテンダーが捧げたカクテルと言われています。あなたと同じような思いをした方が作ったお酒です。どうぞ召し上がってみてください。

8話 男性はマルガリータを一口飲んでみる。すると男性はまばゆい光に包まれた。その光が消えると、亡くなったはずの女性が目の前に現れた。その女性は、男性に近づき、肩に手を置くと、口を開いた。「あなたを残して、先に逝ってしまってごめんなさい。あんなにも素敵なプロポーズまでしてくれたのに、、。もっとあなたの側にいたかった。」その声を聞いた男性は、泣き崩れた。

9話 女性は、泣き崩れた男性の背中に向かって「でもね、もういいの。だってあなたと出会えたから。それだけで、私は幸せだった、今までありがとう。じゃあバイバイ。」と女性が言うと、男性は泣きわめき、目をつむって、女性の名前を叫ぶ。

10話 男性が名前を叫ぶと、目の前から女性はいなくなっていた。いや、元から居なかったのかもしれない。それは、全てを見ていためめにしか分からない。男性は、スッ立ち上がると、何かを心に決めた様な顔をして、バーテンダーに向かって「ありがとう」とひとこと言って、一杯分のお金を支払い。店を後にした。

11話 ここはビルの森に埋れ、地下でひっそりと営業しているお店「アイズBar」。今夜は、先日彼氏にフラれた後に泣きながらご来店された、女性のお客様だ。女性はカウンターに座るとニヤニヤとした顔で「オススメで!!」とバーテンダーめめに注文した。するとバーテンダーめめは、「ではお話を聞きながらお作りいたしますね」と言って、グラスを用意した。

12話 「まぁまずこの前は、ありがとう。おかげで病まずに済んだわ」と女性。めめは会釈だけをして女性の話を聞き続けた。どうやら女性は、出会いが無いことに嘆いている様子。めめは、ウォッカ、ホワイトキュラソー、アプリコットブランデー、レモンジュースをシェーカーに注ぎ、シェークする。その姿を女性は、まじまじと見ていた。シェークを終えると、グラスに注ぎ、最後にオレンジピールを絞って仕上げた。

13話 めめは「どうぞ、アキダクトです。」とグラスを差し出した。女性は、差し出されたお酒を見て、「このお酒には、どんな意味があるの?」と聞いた。めめはその問いに答える。「アキダクトの意味は、[時の流れに身を任せて]と言います。」それを聞いた女性は「なるほど。時が経てば、男なんて勝手に現れるモノよね」と納得した後、一気に飲み干そうとするも、アキダクトは、アルコール度数が高く、吹き出した。

14話 ここはビルの森に埋れ、地下でひっそりと営業しているお店「アイズBar」。今日は、男性と女性のお客様が、別々に御来店されて、カウンターに離れて座っている。男性の方は、早い時間からご来店されており、酔って気分の良くなっている男性は、「そこの女性に何かオススメを」と、めめに頼んだ。めめは「あの方の事、気になってるんですか?」と冗談っぽく聞くと、少し慌てた表情をして、「ち、違いますよ!!」とわかりやすく焦っていた。

15話 男性の気持ちを感じっとっためめは、あるお酒を思いつく。少し大きめのグラスを用意し、お酒を作り始める。ウォッカとオレンジジュースをグラスに注ぎ、バースプーンで3周ほど回し混ぜる。そしてめめは、「あちらのお客様からです」と女性の前へカクテルを差し出した。

16話 「どうぞ、スクリュードライバーです」と女性にカクテルを差し出した後、男性の元へ行き、耳打ちする。「お酒にはそれぞれ、花言葉や宝石の様に、いろんな意味を持っています。スクリュードライバーの意味は、[あなたに心を奪われた]。そしてあれを飲むと、女性がいつの間にか酔ってしまう事から、こういう風にも言われています。別名[女殺し]」

17話 男性は女性と距離を詰めるため、話しかけた「お隣よろしいでしょうか?」。女性は、「どうぞ〜」と明るく返した。2人はすぐに仲良くなり、テキーラをショットで何杯飲めるのか、勝負し始めた。勝ったのは、女性だった。女性は男性に肩をかし、夜の街に消えていった。

18話 ここはアイズBarのある街の中で、一番高いビル「ルナーキビル」。このビルには商業施設やホテル、オフィスが入っている。今ここで、事件が起きようとしている。だがまだ誰もそんな事を知るよしもない、そう犯人以外は。

19話 ここはルナーキビルの2千メートル上空。小型のジェット機から、黒い装備をした3人が飛び出し、時速180キロのスピードで滑降する。ルナーキビルに近づくと、パラシュートを開き、ビルに降り立った。そして3人はライフルを取り出し、建物内へと侵入した。

20話 3人は、まず監視カメラを止めるため、電気制御室に向かう。誰にも見つから無い様に、通気口や、一般人では通れない様な道を通って侵入していく。すると、1人が立ち止まり、他2人に「待て」と指示する。すると角の方から警備員が現れる。3人は物陰に隠れ、警備員が通り過ぎるのを待つ。

21話 警備員が通り過ぎると、1人が裏から、警備員の首をパキッとへし折った。警備員は、犯人に気付く間も無く、気絶し倒れる。警備員が倒れる側にある扉を開けると、ここは非常階段の様だ。誰もいない事を確認すると、足音を立てない様、下へと降りて行った。

22話 非常階段を、降りていき、70階の扉を開く。そして、電気制御室の前に辿り着く。電気制御室の扉には指紋認証システムが使われており、警備員の指紋が無いと開けられない様だ。すると、1人がバッグからフィルムを取り出し、指で押し当てた。するとロックは解除され、扉が開かれた。

23話 制御室の中に侵入していくと、まず、監視カメラを停止させた。するとヘリコプターのプロペラ音が、街に響き渡った。そのヘリコプターは屋上に降り立ち。中から武装した仲間が次々と出ていき、ビルへと入って行った。

24話 合計で10人になった武装集団は、このビルの中で、1番人が集まる、商業施設の広間に現れ、ライフルを乱射した。10人は、広間の真ん中に50人ほどの人を集め、「私たちは、このビルに爆弾を仕掛けました。そしてあなた方には、人質になっていただきます。」と宣言した。

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