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世の中ががらりと変わって見える物理の本 カルロ・ロヴェッリ (著), 竹内薫 (著), 関口英子 (翻訳)

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ループ重力理論について興味が沸いたので、浜松市の図書館で検索して見つけたのですが、今話題になっている「時間は存在しない」よりもこちらのほうがダントツで読みやすいのでお勧めです。「時間は存在しない」の内容をとても分かりやすくまとめているからです。

訳者あとがきによると、イタリア本国では、地味な物理学の本である本書が近藤麻理恵さんや人気小説家の最新作を抑えてベストセラーになったという奇跡を起こしたそうで、その後、世界中の言語に翻訳されているそうです。だからこうして、日本語でも読めるようになったんですね。イタリア人の好奇心に感謝です。

科学の進歩が私たち人類の世界や宇宙に対する見方や考え方をどのように変えてきたのかを語りながら、一般相対性理論と量子力学という現代人が到達した物理学の2大成果を数式も図もなしでイメージさせてくれます。

アインシュタインが量子力学を受け容れなかったということを、いろいろな科学関係の文章で目にして来ましたが、実は、否定していたわけではなく、量子的な考えは正しいが、まだ不完全なんだと主張していたということが初めて理解できました。

著者が、アフリカの上空を飛行機で飛んだ時に、昔、狩猟採集をしていた我々の祖先が、アフリカの空を見上げて、将来彼らの子孫たちが、飛行機を作り出してこんな風に空を飛ぶことになると想像しただろうかと考えずにはいられなかったというエピソードが印象的でした。

専門的な図の代わりに、イメージが膨らむかわいらしいイラスト挿入されていますが、それがこの本を「大人の絵本」のようにしていると思いました。

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