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【読書感想文】金子達仁『決戦前夜』

日本惜敗
PK戦の末に惜しくも敗れる
ネットニュースに埋め尽くされる
日本代表ありがとう!の言葉

もちろん異論はない
日本代表は本当によく戦った

コスタリカ戦後の誹謗中傷をものともせず
いやいや、気にしてないわけないよね
せめて戦犯とか帰ってくんなはやめましょうよ。

そして何故だか私はこの本を思い出した
1998年フランスワールドカップ出場までの
二か月間の最終予選を追った記録
中田英寿と川口能活の苦悩と歓喜を間近に感じた
鳥肌物のこの記録を。

序章は川口と中田の人となりを想像させる
プライベートな情報をちらつかせ
大いに読者を羨ましがらせる手法から始まる

<予兆>
ウズベキスタン戦を6-3で勝利しながら
課題が山積した状況に手放しで喜んではいない三人
川口、中田、金子の心情が伝わってくる。

<暗雲>
アブダビでのUAE戦で引き分けとなった時
加茂監督と選手の間で何かが決定的にズレてきているのを
多くの人間が感じていた。

<暴挙>
韓国戦
勝ちにいった試合で日本は負けた
川口はしばらく放心状態だった。
中田は監督に絶望していた。

<激震>
カザフスタンとの悪夢の同点劇(著書にはそうかいてある)後
ようやく加茂の更迭が発表される
後任は当時コーチだった岡田武史
この頃の川口が、自分に、中傷に疲弊していたのが伝わってくる
中田もまた周囲に理解されず孤独を深めていくのだ。

<絶望>
当時二十歳の中田を気遣う金子とのやり取り。
「お前のせいだ」と名指しで罵声を浴びせられる川口。
日本代表のプレッシャーというのは
今も昔も変わっていないのかー。
国を背負うのは大変だー。

<自信>
洪明甫を欠いた韓国に勝利
「ニッポン2-0、フランスに向けて胸を張って
前を向きました」
タイムアップの瞬間NHKの山本浩アナウンサーは
そう叫んだ(らしい。全然覚えとらん)

<伝説>
対カザフスタン
この試合で岡田は初めてカズを外す。
そして日本のサッカーが変わる。
野人、岡野の登場である。
苦しみぬいて勝ち取ったワールドカップへの切符
最終予選の七十一日間は、泣き虫だった日本の若き守護神を
大きく変貌させていたと金子は書いている。
そして中田は金子に言ったそーだ
「ダメだよ。出場が決まったくらいで記者がそんなに喜んでたら」とww

終章<決戦前夜>
最終予選後の川口と中田
ここでも二人とのイチャイチャぶりを綴る金子(全く大人げない)

しかし金子は記者なのだ
今回のワールドカップでここまで選手に密着出来た記者はいるのだろうか
選手と記者の関係をふと考える。
記者は選手の敵じゃないよね?
勝っても負けても記者には公平でいて欲しい。
私達は流されやすいから。
大袈裟に喜んだり落胆する私達に教えて欲しい
ニッポンのサッカーはどこまで行けるのか
私達はどう応援すればいいのかを。


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