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【捨てる力】7年でPB売上25倍のワークマンの戦略

こんにちは、RELATIONS株式会社の加藤章太朗(@katoshow)です。

前回のnoteでは、パンデミック時のAmazonのAgility(俊敏性)についてお伝えしました。

今回から戦略分析のシリーズを定期的に出していきます。戦略とは「戦いを略す」ことです。つまり、目的に向けて無限の選択肢がある中で、優先する選択肢を明確にすることです。

別の言い方をすると戦略とは「ある選択肢」をあえて捨てることです。

戦略という概念は小難しいのですが「企業が何を捨てているか?」を見ていくと、誰でも理解しやすいものになるのではないか?という考えがあり、今回からシリーズとして続けていきます。

初回は、2012年から7年でプライベートブランドの売上が25倍になっている「株式会社ワークマンの戦略」を分析します。特にプライベートブランドの戦略を中心に見ていきます。

(*1)株式会社ワークマン 2020年3月期第3四半期決算説明会より

株式会社ワークマンの概要

ワークマンは、1982年に、群馬のスーパーマーケットチェーン・いせや(現ベイシア)の衣料部門から独立して創業し、「職人の店」として建設現場の作業員など職人向けの衣類を中心に、売り上げを伸ばしてきた会社です。

2706_NB純綿長袖シャツ___作業着のワークマン公式オンラインストア


もともと、職人向けの衣類を手がけていましたが、近年爆発的に伸びている理由は、一般客に対しスポーツ・アウトドア・レインウェア用途として売り出しているプライベートブランドです。

2020年3月期_第1四半期決算説明会

無題のプレゼンテーション_-_Google_スライド

無題のプレゼンテーション_-_Google_スライド

※株式会社ワークマンのIRを参考に作成

2012年頃よりプライベートブランドの売上は順調に伸び、現在は売上624億円の約40%である249億円を占めるようになりました。

SNSを駆使したデジタル・マーケティングにも力を入れており、企業として大変貌を遂げていると言えます。

2020年3月期_第1四半期決算説明会

なお、このプライベートブランドを売り出すのを加速しているのがWORKMAN Plusという店舗です。

株式会社ワークマン_2006年3月期_中間決算説明会

職人の衣類の店というイメージとはかけ離れているのではないでしょうか。通常のWORKMANの店舗は以下ですが、だいぶイメージが違いますね。

Microsoft_PowerPoint_-_2014年3月2Q

さて、ここからは、ワークマンが捨てたものを見ていきましょう。

捨てたもの①:職人のみをターゲットにする選択肢

ワークマンは創業以来、作業服業界のトップシェアを占め続けており、その分野での成功体験があったと思います。

「既存顧客である職人のみ」に商品を作り続けるという選択肢もあったのではないでしょうか。

ワークマンは、その選択肢を捨てました。

無題のプレゼンテーション_-_Google_スライド

そして、職人以外の一般客に向けにプライベートブランドを作る意思決定をしました。

これは明確に「捨てている」と言えます。

ワークマンが「職人のみに商品を作る」という選択肢を捨てたきっかけは以下の3点でした。

・リーマンショックにより、景気が落ち込んで買い控えが進んだ。
・リーマンショックにより、設備投資が冷え込み、ワークマンの顧客の建設現場が減った。
・ブルーカラーが減少傾向にあった。

これらの理由を今聞くと「合理的で当たり前の選択肢だよね」と多くの人が思うでしょう。

ただ、既存事業の強い成功体験がある中で、果たして簡単な決断だったでしょうか。

・私達は職人向けに衣類を作っているのではないのか
・職人向けの服を一般の人が買うわけないだろう

と言った声が社内で挙がるのは容易に想像ができます。その中で、「職人のみに商品を作る」という選択肢を捨てたのはすごいことだと思います。

捨てたもの②:デザイン性・高級感

ワークマンは、スポーツ・アウトドア・レインウェアの領域で、以下のように機能性と低価格に特化しています。逆に言えば、デザイン性や高級感は捨てていると言えます。

これは、以下のポジショニングマップが理由です。

無題のプレゼンテーション_-_Google_スライド

※株式会社ワークマン 2019年3月期第2四半期 決算説明会資料を参考に作成

ワークマンのランニングウェアは、機能性が高いにも関わらず上下合わせて2,000円ほどで揃うものもあり、とても低価格です。一方で、他社のスポーツやアウトドアのウェアは、高価格であったり、デザイン性が優れているものばかりだったそうです。

つまり、独自のポジションを築くために、デザイン性や高級感は捨てています。十分な資金があるので、高級感があったりデザイン性の高いウェアを作ることはできますが、あえて捨てているのです。

捨てたもの③:大規模な広告宣伝

ワークマンは機能性と低価格にこだわっています。

そのために原価率が65%となっており、一般的なアパレル企業の原価が20〜30%と比べると大変高いです。

原価率を抑えれば、広告宣伝で顧客を獲得できますが、ワークマンは大規模な広告宣伝をあえて捨てています。

それは、良いものを低価格で提供するためであり、先程明示したポジショニングを築くためです。

なお、ファーストリテイリングの売上総収入に占める広告宣伝費率は3.3%(2018年12月期)に対し、ワークマンは0.4%(2019年3月期)となっているようです。

ワークマンが大ブレイク、低価格高品質でも利益が出せる3つの秘訣より

ワークマンの戦略まとめ

以上をまとめると、以下の図になります。

無題のプレゼンテーション_-_Google_スライド

ワークマンは一般客に視野を広げ、スポーツ・アウトドアという市場で「機能性・低価格」を求める顧客がいることを発見した。そして、スポーツ・アウトドア市場で、「機能性・低価格」という独自ポジショニングを確固たるものにするために、広告宣伝費などを徹底的に削減し、良いもの(機能性のあるもの)を安く作るという戦略を取っている。

世の中の戦略フレームワークに当てはめ、より細かく捨てているものを分析はできますが、今回はシンプルに伝えることを重視し3つに絞りました。

このように調べてみると、ワークマンは「何を捨てたか」がとても明確で戦略として洗練されており、成長理由が理解できます。

今後も「捨てる力」の戦略シリーズ、アジャイル組織、組織開発について発信していきます。

Twitter:@katoshow

ソース:
※株式会社ワークマンの決算説明会資料
WORKMAN Online Store
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ヤッター!
13
09年にRELATIONS株式会社を創業。WEBメディアSELECKの立ち上げ、マネジメントツールWistantのPMなどを経て、全社の戦略ロールを担当。自社では国内で珍しい純ホラクラシーを運用しています。自律分散型組織の戦略論、アジャイル組織、などが興味分野です。

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