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うたのはなし ~10分間~

2007年のこと。ROB☆STARが活動休止に入りまして、「さーて、どうしたもんかな」と思っていたわたくし。なるべく外に出るために、サポートでギターを弾かせていただいたりということはしてました。そんな中、ライヴハウスのブッキングスタッフを始めたとあるバンドマンが「ソロ、やらない?」と連絡をくれまして。

ヴォーカルになると腹はくくっていたものの、圧倒的に場数不足なことは百も承知。ならばアコギ1本でステージに立ってみるしかないとそのオファーを引き受けました。が、曲をどうするかという壁にぶち当たる。バンドの曲を1人でやるのももちろんありだが、言葉は自分のものではない。果たしてそれでいいのだろうか…と。

というわけで、そこからカトウマサタカ、ひとりで曲を作るという作業に取り掛かりました。もちろんそんなにバカスカ出てくるわけではないし、そもそも何を書こうかという悩みを抱えてしまいます。歌詞を書けないのは「言いたいことがない」からであると当時から口にしていたくらいですから、まぁテーマ探しに苦労するわけで。

そんなときにふと、”自分の気持ちよりも、想い出とか、人を中心に書こう”とひらめいたわけです。

「ひとつ星」の次にできたのがこの「10分間」という曲。作曲面でのお手本はイーグルスの「Take It Easy」だったんですけども、結果ジャパニーズフォークソングになりました。世界観とか言葉遣いとか、そのあたりのせいもあるんだろうなぁ。”帰り道の電車”は中央線だし。

当時は荻窪在住でしたが中野に住んでいたころの回想なので「10分間」。でもほんとは11分かかるんです、確か 笑。恋愛のうたであるという受け取り方を結構されることが多く、自分としては意外だなぁと思っていました。ここに描かれているのは男性の友人。スタジオの帰りはだいたい”最終電車のひとつ前”だったのです。はい。

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「10分間」

帰り道の電車 ホームの端のほう
それが僕らの指定席だった

僕のほうが家が近いから
先に降りるまで 僕が降りるまで

10分の間 君と語るとき
少しずつ僕ら 分かり合えたんだ

帰り道の電車 ホームの端のほう
最終電車のひとつ前あたり

短い時間にいろんなことを
話してくれたよね 話してくれたよね

10分の間 夢を語るとき
まぎれもなく僕ら 少年だったんだ

つまらないことも 楽しいことも
たくさん話したね 話してくれたよね

10分が過ぎて 先に降りる頃
ほんの少しだけ 寂しかったんだ

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