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読んだことを忘れたくない あるいは読み返したくなるはずのお話

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活字の海を波乗り中に見つけたお気に入りの記事を残しておく自分用の文集。本棚の片隅に並べて、その背表紙を眺めているだけで申しぶんのない時を過ごせるような小さな出会いの積み重ね。
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#小説

本好きは本屋でなにをしているか

何の本を読むべきか、というのは人生の課題です。 そう思っている人は案外に多いとみえて、本好きを自称していると同年代のともだちから「本屋でぶらぶらとは実際何をしているのか」というイイ質問や、「どうやって読む本・読みたい本を選んでいるのか教えて」というリクエストをときどきいただく。社交辞令は一旦本気で受けとるのがモットーなので、このたびまとめて書いてみたい。 わたしは読むのが遅いし、読書履歴も浅薄だし、海外文学に至っては「あ、あぁ、オスカー=ワイルドね。『ドリアン・グレイの肖

ショートショート62『間が悪いやつら』

「……ほんと、間が悪い……」 時刻は深夜2時をまわった頃。 親友のユミから、“ナギサ~!告白してめでたく彼氏できたよ~”っていうLINEと、 わたしの彼氏のリョウ君から、“ナギサごめん。疲れた別れよう”っていうLINEが、 同時にきた。 間が悪い。 脳の処理能力が追いつかない。 別にユミは悪くない。ずっと相談にものってたし。めでたい。 リョウ君は……少し悪いかな。LINEで言ってくるなよ。会って言え。気持ちは分かるけどさ。せめて電話してこい。 何にしても“間が

結局、人生ってただの思い出作りなのかもしれないなぁ

昔から不思議に思っていたことがある。 例えば、30歳で亡くなった人に対して 「まだまだ若いのに、、人生これからなのに」 とよく言うくせに、 生きてる30歳に対しては 「若く見えたけど、結構(年齢)いってるんだね!」とか「もう若くないんだから」とか言う人たち、なんでなんだろう? 死ぬには若いけど、生きるにしては老いてるってことなんだろうか? 純粋にずっと不思議だった。 そもそも若いとか若くないとかの概念は 誰かと比べたときに生じるんだと思う。 自分より年下の人を見ると