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キャシュふる、というサービスについて

【久しぶりに相当怒っています】

さて、私はふるさと納税に関するシステムを提供する会社の代表でもあります(この前うめだ阪急で魚売ってたやんか、という指摘は置いておいて)

うちのサービスは、自治体様一つ一つに『特設ふるさと納税サイト』を提供し、自治体のふるさと納税活用について支援するというものです。

ふるさと納税の仕組みとしては、大手ポータルから寄付すると、寄付金額のうち10%前後の手数料がポータル会社に入り、寄付金額の30%相当の返礼品が寄付者に届きます。総務省のルールとして、寄付金額のうち返礼品は30%までの金額内で、手数料や送料などの経費は、返礼品の金額と併せて50%以下でないといけない、というルールがあります(返礼品合戦を防ぐため)。

私たちの会社株式会社ふるらぶが目指していたのは、手数料の10%前後を極力減らし、自治体の負担を軽くしつつ、寄付者のメリットもなるべく得られるようにするということです。

手数料が高いと、返礼品にも影響があります。例えば、1万円の寄付で北海道から冷凍のホタテを東京都内在住者に返礼品として届くとすると、送料は確実に1500円程度。手数料が10%だとすると、その分ホタテを2500円程度にしない限り総務省のルールに違反します。

そうならないよう、自治体は返礼品を事業社(返礼品提供の会社)と調整したり、広報活動を控えたりします。

また、大手ポータルサイトでは、寄付していただいた方に再度自治体の良いところなどを伝えたい(広報活動をする)としても、そのためにはプラットフォーム側に課金せねばならないなどの負担も生じます。結局、ふるさと納税という仕組みに乗った大手プラットフォームが利益を得ることが多いのが現実です(もちろんこの各社がCM等でふるさと納税の周知を国民に行ってきたという事実は認めます)。

しかし、本来ふるさと納税は、思い入れのある地方の発展のために寄付を行うというのが根幹。そのために、手数料がとても低く、かつ、その地域のファンを増やすということを目的とした活動を弊社「ふるらぶ」でやっております。弊社のサービスの根幹は「シティプロモーションの支援」であり、その中でふるさと納税システムの提供や返礼品開発の支援などがあります。

現在までに、

香川県土庄町(小豆島)

和歌山県湯浅町

福島県磐梯町

兵庫県赤穂市が稼働し、

あと3市がすでに申し込みをいただき今夏には稼働、他4つほどの自治体が決断の最終段階です。

しかし、ふるさと納税の根幹にかかわる新しいサービスが本日プレスリリースされてました。

キャシュふる

というサービスです。

はっきり言って××です。

寄付者が先ほどの「返礼品は要らない」という選択をすることもできます。より多くの金額が自治体に入り、その地域の支援になればというものです。しかし、キャシュふるはこの仕組みを「悪用」しています。

すなわち、「返礼品は要らない」という人をこのサイトに集め、その【返礼品枠】を他の人に売りつけて差額をもうけるというやり方です。Twitterでとある方は「クレジットショッピング枠の現金化」みたいだという指摘をしてましたが、いい指摘かなと思います。

この会社のHPには「大手プラットフォームサイトがこれまで搾取してきた手数料を下げることができる」という触れ込みもあります。これは弊社の理念とも近いですが、やり方がおかしすぎる。

※なぜ手数料が下がるかというと、返礼品は要らないという寄付者からお金を預かって、自治体に直接振り込みで寄付をして、返礼品の送り先を「枠を買い取った」人にするからです。直接振込だと、ポータルサイトへの手数料は要らない。(その代わり自治体が入金チェックするなどの手間は増えます)

ちなみにリーガル的にはOKなのです。ふるさと納税した人は、ふるさと納税返礼品を、お歳暮代わりに実家の両親にするなどしたことがある人もいるでしょう。これの悪用です。

ふるさと納税の研究会(経済学者の島田晴雄先生などが参加されていた)で議論されていた中で根本として語られていたのは『ふるさと納税の導入により納税者の「ふるさと」に対する真摯な思いを制度的に表現することが可能となり、そのことが「ふるさと」に対する思いの高まりや自治意識の進化に繋がり、我が国の各地域に活力が生まれることを期待するものである』ということです。

今回の新サービスはこの思いを踏みにじるものだと思います。

下手すれば、ふるさと納税制度の存続にも関わりますし、『寄付者以外のところに返礼品は送付出来ない』などの制度改善(改悪)』にもつながりかねません。

このサービス始めた会社、東京都内の4,5年目のIT企業(いわゆるスタートアップ)のようですが、私は常々スタートアップ支援制度に疑問を持っています。有象無象に支援したところで何にもならないし、こんなクズシステム作るような会社が雨後の筍のように出てくるくらいなら、支援なんてしない方がいい、ちゃんとした会社が出てきたらそれを伸ばせばいいと思っています。以前ベビーシッターのITサービスで登録シッターのチェックが甘かった問題はじめ、ITサービスの多くに根本的問題がはらんでいることがしばしばあります。規格外野菜を安く売ります!的なアプリもそう。

そういったところを放置したまま、何がスタートアップだという思いがあります。

今回のサービスはすでにTwitterでは炎上の気配を見せていますが、早々に退出していただき、日本における健全な寄付文化が根付いてくれるように思っております。

※追記 文言の一部を修正しました。

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