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ベンチャー企業が右腕を作る難しさ

久しぶりの更新になります(すみません)

子育てしていると夜の執筆の時間がなかなか、、、ようやく慣れてきたので少し時間があるうちに気付きを書いておきます。

表題の件については、今まで多くの起業家の成功と挫折を見てきた経験からの記事です。

たとえば、代表は各メディアで取り上げられたりと頑張っているが内情ががたがた出会ったり、社員が次から次へと入れ替わって売り上げが伸びなかったりするなどの話はよく聞くもの。

いくつかの原因はありますが、その企業に「右腕」がいないことが共通した課題ではあります。

① 右腕とは何か

日経スタイルでは上記の記事で、社長の右腕になる人の特徴を挙げているが「ベンチャー」では、その10個の項目と少し異なるとみている。
そもそも、大企業の社長の右腕は、上記リンク内にあるように「ナンバー2」であるが、実際決定権がある程度しかなく、社の命運を左右するような事や組織人事権はやはりTOPにあることが多い(そもそもさらに大きな企業だと、TOPだけでできることもない)。

中小企業の社長の「右腕」だと、そもそも肩書だけナンバー2ということもある。
ベンチャー企業の右腕はそういった性質の人が少ない。先のリンクの10項目と比較すると、
(1) 考え方が(代表に比べて少し)ネガティブ

特にビジョン型のベンチャー経営者がTOPの場合、その経営者の暴走に歯止めをかける必要もある

(2) コトやヒトの評価がフラット

ここは一致することが多い。ベンチャー経営者は良くも悪くも強い理念があり、その理念への共感の濃淡で人や物事を見てしまいがちである。右腕はその部分を理解しつつ、組織の運営に腐心することが望ましい(瓦解しないためにも)。

(3) 理想と現実の受容力が高い

ここも一致する。特に、(理念などはさておき)金銭面で、先ずはこの仕事を取らないと、ということが会社を救ったりする。

(4) 他者理解力

先の(2)で述べたようにここも一致する。ただ、その理解力は経営者より冷静さが必要となる。

(5) 自己評価がフラット

ここは少し異なると感じる。ベンチャー企業を上手く育てている右腕は、フラットというより、「謙虚さ」が強いと思う。だからこそ、経営者を上手く挽き立てていける。フラットといえばそうかもしれないが、経営者の良くも悪くも「雑さ」「拙さ」が見える立場にもあるので、その部分を感情的にならず冷静に見極め、かつ経営者を立てることができる人間は自己評価を控えめにしているというのが感想だ。

(6) ストレス耐性

2つのパターンがあると思う。非常にストレス耐性がある(5で述べたように)場合と、ストレスを感じない体質になっている(達観してしまった)場合とだ。少しでも普通の人間のストレス耐性程度の人が右腕などの責任ある立場に、しかもベンチャーで、というのは先ず難しい。もって3か月か。

(7) 高い傾聴力

高い傾聴力だけでなく、冷静な判断力がある。経営者が見落としそうな部分をあらかじめ拾っておくようなことも必要である。経営者ができない人間だというわけでなく、経営者は本当に忙しいので、それをカバーしつつ、それを真正面から指摘するのは右腕の役割なのである。

(8) 敵を作らない

これもある程度一致する。組織運営はTOPより右腕に任せた方がうまくいく。というより、経営者は非常な判断もすることがある。右腕がその緩衝材にならなければならない。それを自覚している右腕の人は多い。

(9) 等距離な人付き合い

(8)と同じ

(10) 参謀志向ではない

ベンチャーに関しては一致する。むしろ、経営者と同じ起業家属性の人が多い。自分の右腕としての役割を自覚しつつ、自分でもやりたいことをやっていくというタイプが散見される(ただその場合、右腕の人の右腕が必要になってくる)。

② 右腕を作る意義と難しさ

ベンチャー企業の成長に必要なのは、事業の拡大に伴う手法の見直しと人員の適正な獲得と配置、新規営業など様々だが、起業家が結構苦手なのは新規営業だったり、手法の見直しである(特に営業に関しては、それまで営業を経験したことが無い人が多いというものがあるが、ほかにもいくつか要素がある。これは後日書く)。
経営者はこの変動激しい時代の中で何歩も先を見据えて様々なことを考える。しかし、それを形に落とし込んで組織として動き、必要な資金を手立てし、仕事を獲得するのは一人ではむつかしい。どうしてもパートナーがいる。しかし、パートナーは、少なくとも上の太字の部分が経営者とほぼ100%シンクロして理解している必要がある。

同じビジョンがあるなら、それができるということもあるだろう。しかし、ビジョンは一致していても、そのビジョンにたどり着くまでの道はいくつもあるはずで、経営者としてはそのいくつかのうちから最適という道を選び、進んでいく。しかし、これが正解とは限らない。
山登りに例えると、山頂までの道がいくつかある中でどれを選ぶかを相談する相手(右腕)が必要である。それは、「より正しそうな道を選ぶ」ということと、「何か間違っていた場合、戻るべき場所まで立ち戻る」ためのポイントを右腕が理解して覚えていることで、修正がやりやすいというメリットがあることだ。一人で判断しているとこの「何か間違っていた」ということに気が付くことが遅くなることと、「戻るべき場所」が分かりにくくなるということがある。

ベンチャー起業家の右腕になることは、起業家・経営者の事を理解しつつ、山登りの途中に道しるべをつけたり、組織を見渡す視野を持つということだ。もちろんその業界の事に精通する必要もある。

ある意味、経営者より大変なことも多い。そのため、いくつかのベンチャー企業は「ナンバー2」「ナンバー3」の方が、創業者より給料が高いということもある(投資家の判断によりそうなったこともある)。

しかし、こういった右腕は育てようと思ってもすぐ育つものではない。いつも一緒にいてこそやっとできるものだ。ただ、創業間もない資金もぎりぎりの段階でそこまではなかなかできない。起業家のジレンマの一つだと思うが、どこかの段階で乗り越えなければならない山の一つでもある。


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