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或県が狂うまで

〈昨日未明、県では5件目の殺人事件が起こり…〉

地域ブランド──それは地域特有の特徴や売り物による他県にない魅力。他で味わえない満足感を与えることが必要であり、常に県職員の頭を悩ませていた。しかしだからといって悪魔に頼ったのはうちが初めてだろう。まちづくり支援課係長、禍々凶子は悪魔初の公務員。見た目は6歳だが僕より1500と8歳年上だ。

「なんか県で売り出せそうなのはないノ?!」

「係長、うちは水が綺麗なので」

「バカ!水なんてどこも綺麗なのヨ!」

床につかない足をブンブン振る。椅子に3枚敷いた座布団が崩れそうになった。

〈殺人件数としては異例の事態で…〉

「オットト……斯くなる上はブランドを作るしかないわネ。おい、お前!人は殺したことあるカ!」

「いやッ…ないですよ!!」

「じゃ今日中に他県の奴を殺しなさイ。ウチはこれからエドゲイン級の大殺人鬼をいっぱい輩出するのヨ!」

係長は僕を見透かすようにニタァッと笑った。

(続く)

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