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刀の鑑賞、LEDと白熱球どちらが良いか問題

「刀を観る時は白熱球が良い。LEDだと観えない」

昔から言われている事で、これは手に持って鑑賞する事を前提に話がされている場合が多いです。
しかし観ると言っても現代ではLEDの目覚ましい進化により美術館でも刃文や地鉄を「観る」ことが出来るようになってきました。
その為今は観るといっても「手に取って観る」のと「展示している刀に照明を当てて観る」という2種の「観る」があります。

結論から言えば私はこの2つの状況でそれぞれ優れているライトが変わると思っています。
見え方は個人の好みが出るところもあると思いますが、それぞれの長短所を書きながら、なるべく私的感情を含めず公平な目で書いたつもりです。

①展示された刀を観る場合

LEDの方が適していると考えます。
美術館などでは展示内容によって照明が変わりますが、基本的な考えとしては来館者が快適に疲れにくく観賞、観察できる照明環境を考慮した上で、かつ展示物に損傷を与えないよう光量や温度などを設定する必要があり、他にも展示物により照射する光量が決まっていたりと細かい制限があるのでそもそも白熱電球では対応出来ません。
刀を快適に観るための空間の話で言えば、来館者にはなるべく刀身だけを見せたいはずです。(ごちゃごちゃ視界に入ってくると疲れる為)
その際、白熱電球のように光が拡散して部屋全体が明るくなる照明はガラスの反射もし易くなるので適しません。

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また白熱電球は使用していると高熱になります。
展示物に損傷を与えないという視点で見ると、照度を調節出来ない白熱電球は使用に適していないと考えられます。消費電力の無駄というのも大きな施設には電気代がかかると言う点でマイナスです。
その為LEDの方が適していると考えられます。

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②刀を手に持って観る場合

手に取って観る場合は先に上げた事を気にする必要はないので、純粋に刀が観やすいかどうかで選べます。

結論から言えば、値段の手軽さからいってもやはり数百円で買える白熱電球に軍配が上がる気が個人的にはします。でも値段を無視すればLEDでも同等レベルに見える物が有ります。

一言にLEDと言っても高品質なものとそうでないものでな天と地ほどの差があります。
数百円〜数千円位のLEDであれば、白熱電球の方が明らかに地刃が見やすいです。映りもこういったLEDだと見え辛い。また白熱電球の方が刃や光がギラつかないので目が疲れづらいです。

しかしLEDでも美術館用のものなど光を拡散させるフィルターが付いて光量を落とせるような高品質のものであれば地刃も良く見え、目も疲れないものがあります。
そういったライトであれば映りも見やすいですし、白熱電球と甲乙付け難いです。(基本的にどちらも地刃はよく見えるので、後はどういった見え方が好みかの違いかと。刃がキラキラ光って欲しければLED、光らない方がよければ白熱電球)

白熱電球↓

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LED↓

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しかしそのようなLEDは値段が10万円以上してしまうので、やはり値段の手軽さという点では白熱電球に軍配が上がりそうです。
しかししかし、そういったLEDを天井に一台付けておくだけで展示の時も鑑賞の時もまかなえるというのは、魅力的です。部屋もクリップライトのような物が露出せず綺麗にお洒落にまとまります。
火災リスクもLEDの方が遥かに低い。


③写真を撮る場合

これは以前書いたので以下をご覧ください。
好みの問題かと思います。


④終わりに

これからも日本刀を観る時に白熱球とLEDどっちが良いか?という話題は出ると思いますが、私なら状況や物よりけりと考えるので返答に戸惑います。
刀を展示して鑑賞するならLED。
手に持って鑑賞する場合で掛けられる費用が500円なら白熱電球ですが、10万円ならLEDをお勧めします。

でも昨今のLEDの進化を見ていると、刀業界でも白熱電球の役目はそろそろ終わると個人的には思っています。何より火災で高価な刀が焼失したら元も子もないですからね…。(白熱電球の下に燃えやすいものを置かないとか、燃えやすい物が電球に接触しないようにするとか、正しい使い方をすれば白熱電球は勿論安全です)


今回も読んで下さりありがとうございました!
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それでは皆様良き御刀ライフを~!

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