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2021年7月の記事一覧

刀は「殺」と「癒」という相反する特徴を持っていて面白い

刀は「殺」と「癒」という相反する特徴を持っていて面白い

刀は人を殺せる凶器であり、一方で見る人を魅了する程の美しさを持ち見た人の心を癒せる美術品でもあります。
「殺す(死)」と「癒す(生)」、という2つの相反する特徴が1つの物体に共存しているのは日本刀だけなのでは?と思い面白さを感じると共に、日本刀の美しさの原点が個人的にはここにある気がしています。
また「それらの特徴が極端で分かりやすい」というのも刀の特徴な気がします。

例えば絵はあまり「殺す(死

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どの刀展示ケースにもコンセプトと思い入れを強く持って作っています

どの刀展示ケースにもコンセプトと思い入れを強く持って作っています

最近刀展示ケースmokuが完成したばかりだったので、mokuの事ばかりツイートしていましたが、他の刀箱シリーズや、卓上シリーズも随時改良しています。
例えば明るい部屋で反射しづらいmokuの低反射ミュージアムアクリルが評判良いですが、最近刀箱のアクリルにも低反射フィルムを貼り付ける事が可能になりました。
これによりmokuと近い感じで映り込みが少なく刀を鑑賞出来ます。

↓before

↓Aft

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大江慶隆と相州行光の比較

大江慶隆と相州行光の比較

いよいよ明日は小田急新宿店での展示会の設置日です。
何とか新作刀展示ケースmokuの組立も終わり、梱包作業も終わりました。
という事で一段落したので改めて展示予定の刀を眺める事に。

大江慶隆の地鉄が何度見てもやはり美しい。
そこで相州行光と並べてみる事に。

突然ですがどちらが行光でしょう??

正解は上が行光、下が大江慶隆(東山美平)でした。

地景の入り方や匂い口の雰囲気は若干違いますが、鉄

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紙を切る場合、刀と包丁どちらが切れるか?

紙を切る場合、刀と包丁どちらが切れるか?

私もそうでしたが日本刀は何でもかんでも物凄くよく切れるというイメージを持たれている方も多いようです。
Youtubeなんかでも時々紙を片手で持って日本刀よりも包丁の方が切れる、と声を大にして言う方がいます。
紙を切る場合、日本刀と包丁、一体どちらがよく切れるのでしょう?

何を切るかによるのですが、普通は刃の厚みが細ければ細いほど刃が通りやすくなるので切れやすくなります。
なので包丁の方が切れると

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偉大な米刀剣コレクター「ウォルター・エイムズ・コンプトン」

偉大な米刀剣コレクター「ウォルター・エイムズ・コンプトン」

アメリカの医学博士であり薬学研究者であったウォルター・エイムズ・コンプトン(以下コンプトン)氏は第二次世界大戦後の日本刀蒐集家として有名です。
鑑識眼鋭く、行方不明になった国宝級の刀剣を見つけ出し、日本へ無償返還などもしています。

①名刀もそうでない刀も数多くコレクションプリンストン大学在学中にチャイナタウンで6ドルで刀を購入したところに始まります。
大学在学中に日本人と交流を持った事もあり、そ

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刀の鑑定家「本阿弥光徳」

刀の鑑定家「本阿弥光徳」

刀は現代に至るまで様々な格付けがされてきました。
その格付けには「折り紙」という物が刀の証明書、鑑定書として重要な意味を持っていたわけですが、刀を鑑定してその折り紙を発行していた「本阿弥家」もまた日本刀の歴史とは切っては切れない関係にあります。

そんな本阿弥家の1人、本阿弥光徳が主人公の漫画「本阿弥名刀秘録」が面白かったという記事を昨日書いたのですが、私自身そもそも本阿弥光徳の事は「本阿弥家の中

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第4回刀屋さん見学会レポ

第4回刀屋さん見学会レポ

刀屋さんに行った事のない方、入りたいけど1人で入るには勇気のない方、入ってみたものの刀を持たせて欲しいその一言が言えない人、などなどを対象にした刀屋さん見学会も今回で4回目となりました。
(参加者の方とお店の方の顔繋ぎが目的で、次回から1人で刀屋さんに入れる人を増やせれば良いなと思い始めました)

今回は久々の平日開催ですが、定員一杯で開催する事が出来ました。
ご参加頂いた方ありがとうございます!

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刀展示ケースの値下げはしません

刀展示ケースの値下げはしません

時々「もう少し安くならないですか?」というお問い合わせを頂くのですが、値下げは5台以上まとめて頂ける場合を除いて出来ません。
また今後もしません。
どんなに売れなくなっても値下げしませんのでご理解頂けると嬉しいです。

①値下げしない理由これには理由があって、今より前に購入下さっている方に不快な思いをして頂きたくないからです。
活動初期(今も初期ですが)から応援下さり、購入して下さった方は恐らく「

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刀箱、短刀箱に「反射防止フィルム」を付けられるようになりました。

刀箱、短刀箱に「反射防止フィルム」を付けられるようになりました。

反射防止フィルム。
その名の通り反射を抑えるフィルムの事です。
美術館の展示ケースにもガラスの飛散防止も兼ねて貼ってあります。

①反射防止フィルムについてフィルム上に微細な凹凸がある事で反射が低減する構造です。
両面に貼る事で真価を最大限に発揮します。

以下で四角く穴が空いているように見える箇所が飛散防止フィルムを貼った箇所。(刀身部分がワシャっとなっているのは貼るのに失敗した為)

全体に貼

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目的が見えない人ほど怖い

目的が見えない人ほど怖い

今回は刀とはあまり関係のない(いやあるかもしれない)話なんですが、目的が見えない人ほど怖いという話についてです。

今から10年以上も前、入社したての頃に凄く面倒を見てくれる先輩がいた。
何でもやるぜー!と無知で向上心だけはバリバリにあった新入社員時代。
仕事終わった後にはいわゆる自己啓発本なんかを読んでいる時代でした。
その先輩にこの本面白かったです、みたいな話をしていたある日。
「向上心の高い

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未来の偽物の話(日本刀、刀装具編)

未来の偽物の話(日本刀、刀装具編)

刀の寸法を詳細に記した刀剣記録という物があるようです。

これを取る事で、例えばその刀の身幅や反りが尋常かどうかが分かるようになるそうです。
確かにこれだけの項目をじっくり計測したら刀の隅々まで漏れもなく見る事になりますし、繰り返せば寸法を見ただけで刀の姿を想像出来るようになれそうで良いですね。

今回は個人の勉強になるかどうかは置いておいて、「刀剣の記録」という事だけにフォーカスして考えると、あ

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師弟愛を感じる助広の作

師弟愛を感じる助広の作

助広(1637~1682年)と言えば大阪新刀を代表する名工で、その弟子には助直がいます。
助直(1639~没不明、作は1684年の物が最晩年)は近江国高木村の生まれとされ、後に大阪に出て津田越前守助広門に学び妹婿になったと伝えられており、津田の姓を銘に冠しています。
助直も師の濤瀾乱と遜色ないほどに上手く焼き、名工と言われています。
技術の高さに加え助広と僅か2歳差という事もあってか、助広の急死後

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