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「SNS(TikTok、Instagram等)運用代行」に関する業務委託契約書の作り方!(ひな形あり)

昨今、TikTokやInstagramなどのSNSの運用を外部に委託する企業や個人が増えています。何か商売をするときにはSNSを活用し、集客や認知度を上げるのが当たり前となっていますが、素人では中々良い成果が得られないことが実情です。また、本業をやりながらSNSも運用しようとなると時間が足りなくなってしまいます。そうした時に、SNS運用を外部のプロに委託することで、自身は本業に集中しながら、SNSで認知度高めて集客につなげることができます。このようにSNS運用代行の需要は高まっていますが、外部委託しても成果が出なかったり、委託料の支払いが滞ったりと様々トラブルが発生しているのも事実です。
トラブルが起きないようするためには、しっかりとした契約書を作成し、両者が契約内容を十分に把握することが重要です。
また、2024年11月1日から「フリーランス・事業者間取引適正化等法」が施行されることにより、書⾯等による取引条件の明⽰が義務付けられますので要チェックです。

今回は、「SNS運用代行」に関する業務委託契約書の作り方を見ていくとともに、業務委託契約書のひな形をご用意しております。
すぐにご利用いただける内容の契約書となっておりますので、ぜひ最後まで読んでいただけますと幸いです。


業務委託契約とは

業務委託契約は、業務の発注者(委託者)が、受注者である相手方(受託者)に対して何らかの業務を委託し、受注者は発注者から委託された業務を遂行し、対価(報酬)を受け取る取引の際に締結される契約です。

業務委託契約書を作成せずに、仕事を委託又は受託することもあるかと思います。期間の短い業務や簡単な業務などであれば、契約書を作成しなくてもそこまでトラブルにはならないかもしれませんが、営業代行での業務を委託する場合は、非常に責任を伴う仕事ですので必ず業務委託契約書を作成することをおすすめします。

また、注意が必要なのは、あくまで業務委託契約であり雇用契約ではないということです。業務委託契約では委託者と受託者が基本的には対等な立場になりますので、委託者には指揮命令権がありません。契約上は業務委託であっても、実態が雇用契約の場合は偽装請負を疑われる可能性があります。
したがって、業務委託契約書の内容を両当事者が十分に理解し、合意の上で契約を締結することが重要です。

「SNS運用代行」に関する業務委託契約書の作成方法

業務委託契約書は、ビジネスパートナーや委託先との関係を法的に保護するために欠かせない文書になります。適切な業務委託契約書を作成することは、トラブルを未然に防ぎ、ビジネスの円滑な進行を確保するために不可欠です。以下では、業務委託契約書を作成する際の基本的な手順と考慮すべきポイントについて説明します。

1.業務範囲の明確化

SNS運用代行業務の範囲を明確にする視点から、事前に受託者が責任を負う業務と負わない業務を明記することで、共通理解を促進し、トラブルを未然に防ぐことができます。

2.報酬と支払条件を定める

SNS運用代行の報酬や支払い条件を明確に定めることも重要です。例えば、成果報酬制度を導入することで、SNS運用代行のパフォーマンスに対するインセンティブを与えるだけでなく、クライアントの利益にも合致した契約条件を設定することができる。
今回は、一般的な契約書として月額制の報酬を定めています。

3.契約期間を定める

契約期間の自動更新や契約解除に関する事項を明確にすることで、クライアントとSNS運用代行の双方にとって公正かつ透明な関係を構築することができます。

4.情報管理や競合関係に関する規定

SNS運用代行が取り扱うクライアントの情報や競合他社の情報の適切な管理・秘密保持に関する規定を盛り込むことで、情報漏洩や競合関係の悪化を防止することができます。

契約書の記載事項

「SNS運用代行」の業務委託契約書のひな型には、以下の条項が含まれます。

第1条 (目的)
第2条 (善管注意義務)
第3条 (委託料)
第4条 (費用負担)
第5条 (アカウントの所有権)
第6条 (知的財産権)
第7条 (資料等の提供)
第8条 (責任の制限)
第9条 (報告)
第10条 (秘密保持)
第11条 (個人情報の取り扱い)
第12条 (権利の譲渡等の禁止)
第13条 (再委託)
第14条 (有効期間)
第15条 (中途解約)
第16条 (解除)
第17条 (反社会的勢力の排除)
第18条 (損害賠償)
第19条(不可抗力免)
第20条(協議解決)
第21条(根拠法及び専属的合意管轄)

業務委託契約書のひな型

「SNS運用代行」の業務委託契約書のひな型です。Wordファイルをダウンロードすることができます。すぐに使用できるような契約書にはなっておりますが、契約内容に合うよう編集してお使いください。
なお、ひな形のご使用は自己責任でお願いいたします。

業務委託契約書

[委託者]○○○○(以下「甲」という。)と[受託者]○○○○(以下「乙」という。)は、以下のとおり業務委託契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条 (目的)
 甲は、乙に対し、次に定める業務(以下「本件業務」という。)を委託し、乙はこれを受託する。
(1)  SNSアカウントを利用した戦略及び施策立案
(2)  SNSアカウントの運用代行
(3)  これらに付随する一切の業務

第2条 (善管注意義務)
 乙は、甲の指示に従い、善良なる管理者の注意をもって本件業務を行い、甲の信用を傷つける行為その他不信用な行為を一切行わない。

第3条 (委託料)
1.  本契約の委託料は、月額金○○○○円(税込)とする。ただし、消費税は、別途甲の負担とする。
2.  甲は、乙に対し、当月分の委託料を翌月○○日(同日が金融機関の休日である場合は翌営業日)までに乙の指定する銀行口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は甲の負担とする。

第4条 (費用負担)
 乙が、本件業務を遂行するために必要とする旅費、交通費、通信費、その他の諸費用については、原則乙の負担とする。

第5条 (アカウントの所有権)
 本件業務の遂行に必要となるSNSアカウントについては、甲が所有するものとし、乙は、甲の代行として当該アカウントを運用するものとする。

第6条 (知的財産権)
1.  本件業務の遂行の過程で得られた発明、考案、意匠、著作物その他成果物に関する特許、実用新案登録、意匠登録を受ける権利その他登録を受ける権利及び特許権、実用新案権、意匠権、著作権(著作権法第27条及び第28条に定める権利を含む。)その他の知的財産権は、その発生と同時に、すべて甲に帰属する。
2.  乙は、本件業務の遂行の過程で得られた著作物に関する著作者人格権を行使しない。
3.  本件成果物に関し、第三者との間で知的財産権上の紛争が生じたときは、乙はその責任において解決に当たるものとし、これにより甲が損害を被ったとき、乙はその損害を賠償する。ただし、甲が指定する仕様、商標等又は甲が乙に支給した支給品による知的財産権上の紛争は甲の責任とする。

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