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IgA腎症②腎臓内科でIgA腎症の示唆

こんにちは。カタジュンです。
私はいま、IgA腎症という腎臓の病気の治療に取り組んでいます。日本国内の推定患者数は33,000人で、国の難病に指定されています。自覚症状はほぼなく慢性の経過をたどりますが、20年後40%の割合で透析治療が必要になるそうです。
ここでは時系列に沿って、発症から治療の経過を記事にまとめていきます。
私自身が、様々な方のブログなどから予備知識や治療の辛さを和らげるTipsをたくさんいただきました。私の経験談も、同じような境遇の方や、治療を検討されている方のお力になれば幸いです。
今回は…
これまで様子見をしていた1年半から一転、腎臓内科の受診をきっかけにIgA腎症の可能性を示唆されます。初めて知る病名。「俺って腎臓病なの?」と、心ここにあらずのまま進む検査、検査。そしてついに総合病院の紹介状を受け取ることになります。

2020年1月 健康診断で再び陽性

会社の健康診断が近づいてきたので、事前に身体の状態を確認したくてまた泌尿器科を受診してみました。
ここでは尿蛋白+、尿潜血+。《クレアチニン0.92、ASO270、IgA280》。
ASOの基準値は210(機関による)ですので、またどこかで子供に菌をもらったかな?ということ。またしても先生の「心配ない」の一言で安心し、健康診断に臨みました。

結果、尿蛋白+、尿潜血+。
まぁ、予想通りというか、先日と同じです。心配ではあったものの、体調は崩していないし、これまで通り体調に気を使って過ごしていればそのうち改善するだろう。そう自分に言い聞かせました。念のため、半年後に泌尿器科でまたチェックしてもらうことにしました。

2020年8月上旬 続く陽性に不安がつのる

泌尿器科受診、検査結果、尿蛋白+、尿潜血+。
さすがにここまで陽性が続くと不安な気持ちが大きくなります。
ここで私は、1月の健康診断での産業医面談での会話を思い出しました。

「詳しく見るには腎臓内科だけど…まぁ心配ないでしょう」

あの時はなんだか大袈裟な診療科名だなぁ、自分は関係ないでしょ、と思っていた腎臓内科。体調はすこぶる良好なのですが、原因をハッキリさせたい私。
ネット検索してみると、総合病院にあるような科だと思っていたのに、近所に腎臓内科を標榜するクリニックがあったのです。それならと、早速受診してみることにしました。

…私はこの時もまだ、精密検査の上で異常なし、経過観察!というイメージで動いていました。しかしここから思いがけない方向に、思う以上のスピードで展開していくことになります…。

2020年8月上旬 腎臓内科受診 IgA腎症の示唆

総合病院で腎臓移植などを専門としてきた先生が開業したクリニック。

尿検査結果は蛋白、潜血ともに+でしたが、血液検査の結果をもとにした問診で、IgA腎症の可能性を示唆されました《血清クレアチニン0.97、IgA324》。
私は耳鼻科検診で扁桃腺が大きいと指摘されることが多く、年に1, 2回は40℃くらいの発熱を伴う風邪をひく傾向があったのです。先生はIgAの高値と、私の熱風邪の頻度からピンときたようでした。先生曰く、IgAが300超えたらより詳しい検査を勧めているとのこと。10年、20年後の人生を考えると、とにかく早い方がいいと…。

「IgA腎症」という病名を初めて聞いた私。焦りや不安で落ち着かなくなってきました。嘘だろ…あの、怖そうな腎生検?

まずは外部機関でCT撮影を行い、1週間後に画像診断ということに。世間は新型コロナウィルスの騒ぎ。多かった出張も激減しリモートワーク中心となっていたので、日程調整はスイスイ進んで翌日撮影に行けました。重力などの影響で蛋白尿になってしまう起立性蛋白尿と区別するため、朝一番の尿も提出することになりました。

だんだん弱気になってきた私。「そういえば大学時代、論文作成で根を詰めていたときに一度潜血が出て、早朝尿採ったなぁ、その時は再検査で陰性になったけど」「ということは、自分はもともと腎臓弱かったのかなあ?」などと弱気になってきました。

2020年8月中旬 CT診断 腎機能の軽度な低下の指摘

出来上がったCT画像をもとに説明を受けます。画像から判断される所見はないとのこと。つまり、腎臓の形状が保たれていて、傷んでいるになっている感じはなくしっかりしているということでした。これは腎生検にも耐えられる状態であることも意味します。ちなみに早朝尿でも尿蛋白、尿潜血は出ていました。

また現状の腎機能について、いくつかの指標をもとに解説を受けました。
◆ eGFR
腎機能の指標の一つにeGFRがあります。これは腎臓が尿に老廃物を排出する機能を数値化したもので、90以上が正常とみなされます。私は70を下回っており、軽度に腎機能が低下した状態とのことでした。そしてこのeGFRは治療によって回復するものではなく、これ以上腎臓に負荷をかけずに腎機能を保存していくことが重要になります。
https://www.zjk.or.jp/kidney-disease/diagnostic-criteria/

◆血清クレアチニン(Cr)
クレアチニンは筋肉に含まれる老廃物です。腎機能の低下により濾過が滞ると血液中のクレアチニンが増加します。男性の場合は1.2mg/dl、女性は1.0mg/dlが基準値となります。私は前回検査で0.97でしたので、高めではあるものの正常値内ということになります。
https://www.zjk.or.jp/kidney-disease/inspection-method/

診断のポイントとして、
・IgA腎症の可能性が高い。早期に治療することで症状が治ることが期待できる。
・腎機能は軽度に低下しているものの、今急いで処置が必要な状態ではない。
・IgA腎症の治療にはステロイド投与が行われ、副作用として感染症にかかりやすくなる。コロナ禍の今、急いで腎生検→治療と進む必要性は低いともいえる。

先生も説明しながら治療と感染症リスクを天秤にかけて悩んでおられました…。

選択肢は2つ。
・3ヶ月毎の経過観察を行い、数値の悪化が認められた場合に治療に着手する。
・他の感染リスクより今後のQOL確保を優先し、今すぐ行動に移す。

決めるのは、私自身です。一度帰宅し、妻と相談することにしました…。

妻と相談。経過観察か、検査を進めるか。

妻には、私の経過については細胞診の結果が出たあたりで説明をしていました。原因をハッキリさせるには、入院を伴う詳しい検査が必要になること。子育て中の2人には生活リズムに関わる大きなイベントになります。腎機能の現状と、治療に対する短期的、長期的イメージなどを話し合っていくうちに、私自身、どこか覚悟が決まってきていました。そして妻も同じ考えでした。
IgA腎症への対処は早い方がいい。このままいくと20年後に4割が透析治療になる。
対して、感染症リスクは、外出を控えたりすればある程度自分たちでコントロールできる。コロナ禍が収束してから検査すると言っても、それがいつになるかもわからないし、その間ずっと腎機能について不安な日々を送ることになる。

とにかく、まだまだこれからの人生。
今取れる選択肢を見送って、後から後悔はしたくない。

2020年8月下旬 総合病院への紹介状

クリニックの先生を訪ね、詳しい検査に踏み込みたい旨を伝えました。
先生は渋い顔をしながらも頷き「私があなたの立場でも、そう判断すると思います…。とにかく腎生検は早い方がいい。」と仰いました。仮に私が経過観察したいと言ったとしても尊重してくださる先生だと思うのですが、色々診てきた方のコメントだから力強いものだと思うことにしました。

腎生検は入院が必要となるため、総合病院の受診が必要となります。自宅から近いいくつかの病室の中で、IgA腎症と確定診断が下った場合、その後の治療の展開が望ましい病院を推奨され、紹介状を書いていただきました。

腎生検、逃げずに受けてやる。自分自身と家族の未来のために進もう。

夏の夕方。
西に傾いてもなお力強い太陽が、正面から私にパワーをくれた気がしました。

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