オリジナル小説 ふたりぼっち#3
2:慣れない日々、慣れる日々バイトを終えて家に帰ると、灰村が窓辺に腰掛けていました。白いカーテンが風に揺れて、灰村の顔に影を落とします。
背中まで伸びた灰色の髪が、静かに揺れました。
「おかえり」
後光に照らされた灰村は、この世のものとは思えぬ、神々しさに溢れていました。同時に、今すぐに消えてしまいそうな危うさも見せていました。
伊織は落涙している自分に気づきました。このひとが消えてしまったら自分はどうなるのだろう。生きていけるだろうか。それは、仄暗い、憂鬱でした。
「あなた