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【中編】誑し込むには十二分(完結済み)

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夏の甥と叔父 ホラー/死体埋め グロテスク表現有
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2024年5月の記事一覧

【創作小説】誑し込むには十二分(2)「落ちる、堕とされる」

前作「死人に口なし」の続き。
⚠️死体

 目の前に、人間が落ちている。

 道端で寝こけている酔っ払いではない。こんな、街灯もまばら、近くに何もない田舎道で、そんなことをする奴は居ない。少なくとも俺は、今までに見たことがない。

 そもそもこれは、元々あったものではない――落ちてきた、のだろう。水風船が潰れるような音と共に。

 高い建物などあるはずがない。何度も通った道だ。そんなものができたら

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【創作小説】誑し込むには十二分(3)「誰にも言えない」

前作「落ちる、堕とされる」の続きです

 酔って道端に落ちている人は良く見るが、死んでいるのを見るのは初めてだった。

 死人は葬儀で見たことがある。あれは体裁を整えられていたのだなと、改めて実感した。驚いたように見開かれた両の目は白濁して、何かが見える状態ではないのに、こちらを見ているような気がした。焼き魚だとこんな感じだなとにべもないことを考える。棺の中で目を閉じられるのは、これを見せないため

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【創作小説】誑し込むには十二分(4)「同じこと」

前作「誰にも言えない」の続きです。

「父さん、叔父さんの連絡先って知ってる?」
 ちょっとした用事で電話をしてきた父に、切られる間際そう聞いてみた。急用があるわけではないけれども、俺と同じ――死体が見えるひとだったから、一応、何かしら繋がりを思っておきたいと、ふと思ったのだ。

「そりゃあるけど、お前あいつとそんな仲良かったっけ?」
「ちょっとね」
「男同士の秘密ってやつか?そういうのがある年頃

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