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途上国の人とつながれるWhatsAppって何?ネパールの人と1日1時間喋ってみた

自分がどこにいようとも、アジアやアフリカ、ラテンアメリカに点在する生徒たちに日本語を教えることができる「国境なき日本語教師」。
特定非営利活動法人開発メディア・ganas サポーターズクラブが主催する「“国境なき日本語教師”になるための実践プログラム(7期)」に参加させていただきました。

途上国に普及しているWhatsAppとは

発展途上国では、電気をはじめとした社会インフラの整備が進んでいない地域も多い中、携帯電話網の整備が進んでいることが特徴です。

携帯電話のサービス網がどの程度普及しているのか、利用可能な領域のカバー率は全世界で約97%、途上国でも90%を超えているそうです。

発展途上国では、現地の無線通信事業者にSMS料金を支払わずにメッセージや画像、動画を送受信できるWhatsApp(ワッツアップメッセンジャー)が主流になっています。

日本ではまだあまり知られていないWhatsAppを使いこなすことで、途上国の人とコミュニケーションを取ったり、日本語のレッスンまでできてしまうというのがこのプログラムの特長でした。

ストレスなくやりとりできるWhatApp

実際に、WhatsAppでやりとりした画面の例がこちらです。

ラーメンをたべることについてのやりとり

電話のようなリアルタイムのやりとりではなく、音声を録音してから送信ボタンを押す仕組みです。

音声を録音して送信

私はネパールの初級の生徒さんを担当しました。
この日の会話は、うどんの絵を見て、「めんを たべる」か質問するものでしたが、生徒さんのほうから「ラーメンを たべる」と答えてくれました。

そこで、ネパールのラーメンってどんなものか、すぐネットで調べたところ、WAI WAIラーメンが見つかったので、「このラーメンを たべますか?」と聞いて会話を続けることができました。
ネパールのローカルなラーメン、食べてみたいです。

ほかにも、コーヒーよりお茶のほうがよく飲まれていて、ヒマラヤ紅茶をよく飲むという話をしました。
食べ物、飲み物の話で国際交流をすることは、初心者でもできるんだと実感しました。

タイムラグのおかげで気遣いもできる

レッスンでは日本語で教える直説法の教材を使いましたが、日本語だけで伝えにくいと思った箇所は母語を少し交えるようにしました。

「おだいじに」をネパール語でも送信

例えば、この日は生徒さんの体調が悪く、病院に行って薬を飲んだことがわかりました。
「おだいじに」と日本語で送りましたが、まだ習っていないかもしれないので、続いてネパール語でも送りました。

ネパール語の知識はないので、Google翻訳とGoogle検索が大活躍です。単語や挨拶程度なら、問題なく伝わるようでした。

検索の時間を取れるのも、メッセンジャーでのやりとりだからこそ。
生徒さんが考えていて、返信に少しタイムラグがあってもゆっくり待ってあげられます。
タイムラグのおかげで、ちょっとした気遣いができて、かえって使いやすいと思うことが多いです。

初心者への接し方に、多くの気付き

今回担当した生徒さんは、日本語学習歴の浅い初心者の方でした。
私は現在、登録日本語教員の資格学習をしているので、座学で習う初心者への教え方のポイントを実践の中で確認することしきりでした。

動詞の「第1グループ」と「第2グループ」

「のみない」ではなく「のまない」に訂正するシーン

日本人は動詞の活用を理論的に考えなくても自然に言えてしまうものですが、外国人向けの日本語指導では、第1~第3グループに区別します。

第1グループとは「~ない」をつけたときに[-anai]になる動詞、第2グループは[-inai]になる動詞、第3グループは、カ行変格活用、サ行変格活用をする動詞です。

今回のレッスンでは、文法用語の説明まではしませんでしたが、実際に言い間違える事例にふれ、なぜこのような区分をするのかがよく理解できました。

発音とイントネーション

9時19分の発音に苦戦

今回の生徒さんは、ちいさい「ょ」が入る拗音の発音が苦手だったようです。
時刻を言うとき、「9時19分」の場合、最初の9は「く」、後の9は「きゅう」になるのは紛らわしいですね。
2回目の発音はしてもらいましたが、完璧になるまで直しすぎないように気を付けました。

理論で習ったのは、日本語は文全体のイントネーションで意図を伝える言語なので、「9時19分」が「9時19分?」のように文末が疑問文に聞こえるなどの間違いがなければ無理に直さなくてよいという原則でした。

やや「くじ じゅうくーふん」っぽく聞こえても、言いたいことが通じていれば「わかりました」や「ただしいです」とポジティブフィードバックを返すように心がけました。

琵琶湖は難しかった!

今回の生徒さんは、すでに来日を果たした方でした。
日本の旅行の話をしたときは、水泳をしたということで、旅の写真を送ってくれました。

川か海か、日本語とネパール語で問いかけ

写っているのが川か海が分からなかったので何度か質問してみたところ、やっとわかったのは・・・びわこ!
みずうみを説明するのって難しいですよね。

湖と池の違いは、沼の違いは・・・?
結論は「難しいと感じる現在のあり方をあえて味わいましょう」と解説されていました!


WhatsAppで国境のない世界に出かけよう

日本語の教え方講座に始まり、7週間にわたる日本語レッスン実習、その期間中にブラッシュアップミーティングもありと、資格学習とあわせて日本語教師漬けの時間を過ごすことができました。

途上国の方々が日本で活躍できるように、いつかは現地の学校に日本語教師として行ってみたいと思います。

それが遠い未来のいつかではなく、WhatsAppがあれば今すぐにでもできることがあると、やりたいことに一歩踏み出せたプログラムでした。

最後になりましたが、国境なき日本語教師プログラムの事務局の皆様、ボランティアの皆様、一緒にプログラムに参加した仲間の皆様に御礼申し上げます。

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