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新刊速報【2022年5月版】|柏書房営業部通信

連休の谷間に新刊を紹介する柏書房営業部です。今月の新刊は4点。ユダヤ人の女性ライターが素性を偽り、オンライン上の過激派コミュニティに潜り込み内実を暴き出す『地獄への潜入』。ミステリ短篇コレクション由利・三津木探偵小説集成少年小説コレクションに続く、横溝正史シリーズ『横溝正史エッセイコレクション』(全3巻)です。

『地獄への潜入』

タリア・ラヴィン 著
道本美穂 訳

【営業担当・見野から一言】
テレビで反ワクチン団体の自称リーダーが逮捕された、というニュースを見て真っ先に思い出したのが、私の担当しているこの書籍、『地獄への潜入』でした。
反ワクチンにかかわらず、反○○、アンチ○○という言葉は今ではどこでも目にするようになりました。特に、SNSではプロフィール欄にも堂々と書かれていることも多いです。別に誰がどんな思想を持っていてもよいのですが、自己紹介にこれらの言葉が使われていると個人的にはなんだかモヤっとしてしまいます。
反○○である!と宣言しておけば、○○については過激な発言や多少の情報操作をしても問題ない……。
こんな風に、この言葉を使う人たちはそれを免罪符のようにして、過激な発信を繰り返している人たちだ、という勝手な私のイメージがあるからでしょうか。でも実際にそう考えている人も少なくないのではないかと感じています。
では、仮にその言葉を免罪符にしてネットで過激な発信を繰り返す人がいたとしたら、多くの人はどう反応するか。……ヤバい思想の人、関わるとめんどくさそうな人として放置する人が大半であると思います。私もそうです。面倒事には巻き込まれたくない。それに、きっとこの人はネットの世界だけでこんな過激なことを言っているだけで、実際は善良な人間で、犯罪とは無縁な普通の暮らしをしている人であるのだろうと、そう信じています。
でも、今回、反ワクチン団体の自称リーダーはSNSの発信だけに留まらず、実際に行動を起こし、逮捕されました。
行動を起こす、と言えば、2021年8月にウトロ地区の住宅に火を放った男性が「ヤフコメ民をヒートアップさせたかった」と語ったのも記憶に新しいです。
寄稿してくれたフォトジャーナリストである安田菜津紀さんが本書の帯にこんなコメントを寄せてくれています。
「ネット上の差別や駅前で散見されるヘイト街宣を、『たかが言葉』と放置すれば、いずれそれは必ず身体的な暴力へとつながる。」……この言葉、今の私たちには重すぎる。そう感じませんか?

『横溝正史エッセイコレクション』

第1巻 探偵小説五十年 探偵小説昔話

横溝正史 著
日下三蔵 編

営業担当・荒木から一言
最近の電車は、車内に画面がいくつも付いていて、ニュースが見られる仕様になっています。満員電車で立ちっぱなしでも、これなら苦になりません。今朝、あるニュースが目に留まりました。

“横溝正史晩年の草稿発見”

……!?
正史の晩年の傑作、「仮面舞踏会」の草稿650枚、「悪霊島」の創作メモを記 したノートが見つかったというのです! 衝撃のあまり、危うく電車を乗り過ごすところでした。今年は横溝正史の生誕120周年。柏書房でも、この記念すべき日に向け準備を重ねてきたので、奇跡のような偶然に胸が高鳴ります。

第2巻 横溝正史の世界 横溝正史読本

ともに日本のミステリ界を牽引してきた盟友、江戸川乱歩との対談、ブームを巻き起こした「金田一耕助」誕生の裏側、坂口安吾や高木彬光による評、大好きな野球のこと、戦時中の生活……。
文庫化や再刊にあたりカットされてしまった日記の復活はもちろんのこと、これまで単行本に収められていなかったエッセイも収録。横溝正史の世界を余すことなく詰め込んだ、“宝箱”のような本が出来上がりました。

横溝正史の120歳の誕生日、5月24日に、3巻同時発売。なんともエモーショナル……!!
黎明期に彼が見た景色を、一緒にご覧になりませんか。

第3巻 真説 金田一耕助 金田一耕助のモノローグ

地獄への潜入』『横溝正史エッセイコレクション』(全3巻)ともに5月24日(火)の配本予定です。それに先んじまして『まとまらない言葉を生きる』の5刷が5月9日(月)出来になります。かしわもちでは、著者・荒井裕樹さんの第15回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」受賞スピーチを全文公開中。ぜひこちらもご一読ください。

それではまた来月もよろしくお願い致します!


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