ここが知りたい!ピースウィンズ・ジャパン「内輪の人々」とのおカネの流れ①役員への業務委託

 NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事)の会計について、資金操作が複雑で、お金が余っているようでもあり、資金繰りに汲々としているようでもある、という矛盾する姿があって、実態がつかみにくい事情は以前にも解説しました。

 しかし、忘れてはなりません。PWJは寄附した人が所得控除を受けられる認定NPOです。

 一般のNPO法人よりも透明性の高い経営が求められていて、役員報酬や職員の給与規程なども社員や利害関係者の求めに応じて閲覧させる義務を負っています。

 本来なら自ら進んで会計上の疑問点について説明すべき立場にあります。しかし、公表資料では、取引自体を見えにくくしたり、あいまいな表現で説明を逃れようとする姿勢が見受けられます。

 そんな中、広島県は、同県に本部を置く認定NPOであるPWJに関連する行政文書を大量に開示してくれました。

 大西健丞氏がトップを務める他の団体との資金取引や役員、親族など身内への支払いなど、一般的な公表文書を読むだけではわからなかったお金のやり取りを紹介してみたいと思います。

その1、「無報酬」の役員へ業務委託費支払い

 PWJには理事6人(うち代表理事、副代表理事各1)と監事1人の計7人の役員がいます。

 広島県に提出している「役員名簿及び役員のうち報酬を受ける者の名簿」(第4表付表1)によると、報酬「有」は監事のみで、理事6人は「無」です。つまり、理事たちはNPOの役員としては無報酬ということです。

 監事報酬は年額10万円、理事は無報酬です。

 NPO法では、報酬を受け取れる役員は役員総数の3分の1まで制限されています。PWJのように役員が計7人いても報酬を受け取れるのは2人までです。

 監事に報酬を払うと、あと1人だけとなります。

 推測ですが、報酬を受ける理事を絞り込むのは難しく一律無報酬ということにしたのでしょう。

 だからといって理事たちが何の見返りも受け取っていないわけではありません。役員報酬以外にもお金を支払う名目はいろいろあるようなのです。

 例えば「業務委託費」です。

 年度によって異なりますが、PWJ元職員で大学の研究者であるA理事には「2016年以降毎月」の役務提供に対する対価として、年間94万〜200万円の「業務委託費」が支払われています。

 開示された行政文書からは、どのような役務提供がなされているのかはわかりません。報酬支払いに制約がある役員への支払いですからその内容についてもっと詳しく、わかりやすく説明することが望まれます。

 また、別の大学研究者であるB理事には2018 年度に「ヘルス政策提言事業外注費」として574万円が支払われていました。

 これも個人に向けたものとしては、かなり大きな金額の支払いです。どのような提言をまとめたのか、その文書、ぜひホームページでも全文公表して欲しいですね。

 2018 年度には、代表理事本人に対してではありませんが、その配偶者に対して「捜索救助活動及び訓練参加業務外注費」の名目で26万7千円余りの支払いがありました。

 訓練参加業務?よくわかりませんが、犬の訓練に参加した際の費用を渡した、ということでしょうか。

 2017年度にも代表理事配偶者が経営する会社「アシュティ・アンド・カンパニーズ」に対して、135万円の外注費が支払われていました。こちらは公表されている事業報告書の財務諸表注記に書かれています。

 その代表理事配偶者、大西純子氏は年間10億円以上のお金が動くPWJの保護犬事業(ピースワンコ)の実質的創業者でした。

 以前はピースワンコについて、メディア等のインタビューにも応じていました。

 この大西純子氏、いまはPWJの職員ではないようですが、外注先としてピースワンコの運営には関わり続けていることがわかります。(続く)

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