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広島県動物愛護センター⑤犬の収容数、年1600頭の「半減」必要、最多は尾道


 全国で最初に「動物愛護センター」と名乗ったのが三原市にある広島県動物愛護センターです。オープンから間もなく40年。移転整備の計画が進行中です。

 そもそも動物愛護センターはどんな仕事をしているのでしょう?

 1つは狂犬病予防法に基づく仕事があります。飼い主がいない放浪犬の捕獲です。

 狂犬病予防注射や登録の事務は市町村が受け持っていますから、県や保健所を持つ中核市の動物愛護センターは人に危害を加えたり、万が一にも狂犬病を発症したりしないよう野良犬をとらえて、殺処分してきたのです。

 もう1つは、動物愛護管理法に基づく業務です。広島県の場合なら、動物愛護関係では、動物愛護教室の開催、愛護館・ふれあい広場での啓発、さらに保護した犬猫の譲渡イベントの開催などを行います。

 動物愛護管理法では、動物取扱業の登録・指導や動物の適正飼育指導など管理業務も行うことになっていて、捕獲した放浪犬のほか飼い主がいなくなってしまった犬・猫の引き取りや地域猫活動もこれに含まれます。

 県動物愛護センターの業務概要によると、2018年度の犬の収容頭数(動物愛護センターを持つ広島、呉、福山の3市を除く)は1665頭でした。2013年度は1809頭でしたから、5年間で8%程度減ってはいます。

 しかし、猫と比べたらどうでしょう。猫の収容頭数は2018年度805頭、2013年度2499頭で、68%もの大幅減少になっています。猫と比べてみればはっきりしますが、犬の収容頭数はさほど大きくは減っていません。

 市町村別にみると、多いのは私の郷里でもありますが尾道市や東広島市です。NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が本部や保護犬のシェルターをおいている神石高原町での収容は16頭に過ぎません。

 尾道市の島しょ部は、気候が温暖で、子犬が育ちやすいようです。また、地域によっては、野良犬にエサを与えるひとたちもいて、野良犬の繁殖と捕獲、収容の追いかけっこが続いているわけです。

 しかし、2016年度に始まった「事実上の殺処分がない状態」を維持していく上で、収容する犬が減らないのは厄介な問題です。

 広島県が情報公開請求に応じて開示した2017年9月29日付の文書「動物愛護センターの業務及び施設のあり方について」(健康福祉局)によると、「事実上の殺処分がない状態」が安定的に続くためには4年後の平成35年度(2023年度)までに収容頭数を860頭にする必要があります。

 この文書を作成した時点では、年間1531頭(2016年度実績)でした。671頭も少なくしなければならないのです。

 そして、広島県動物愛護センターとともに、広島市、呉市、福山市の愛護センターや管理センターも同じような努力をしなければ、広島県での殺処分ゼロは続きません。

 収容した犬の譲渡活動を、まとめて引き取っていく動物愛護団体任せにするのではなく、県動物愛護センターの側も譲渡活動に力を入れなければなりません。


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