ワンダーランド / ひのはらみめい

わたしはあなたのワンダーランドには行けないんだ、指一本でも触れさせてもらえない、なぜなら、入場の証を持って生まれてこなかったからなのです。

あなたが子供を欲しいという時だけ、わたしはあなたの役に立ちそうに思う、一旦そう思って、でも言えない。

あなたはわたしを抱く時何を思うのだろう、
そこに愛やときめきや官能さえもないのだ、
それならば、
仕事としておこなう行為ならば、
わたしの欲望が大きすぎてしまっては、ふたりで傷だけつくって、傷から生まれた傷太郎は、何を愛だと学んで生きれるというのだろう?

わたしとあなたが抱き合って生まれる傷太郎の未来はどうなるのだろう

あなたのワンダーランドには男の人しかいない
男であることが入場の証なのだ
あなたのワンダーランドに入れないわたしは、
あなたの視界に入ることさえかなわない。
あなたはわたしの前でドアを閉ざし、
そしてひらくことはないようだ。

わたしはあなたのワンダーランドには行けないんだ、指一本でも触れさせてもらえない、なぜなら、入場の証を持って生まれてこなかったからなのです。

傷太郎はもし、男の子であればパパの国に入場することをゆるされるだろう。しかしパパがそこで遊んでくれるわけではない。

傷から生まれた子供がもし傷子だったら。傷子はわたしと暮らすしかない。パパのワンダーランドをわからずにうまれ、わからずに死ぬ。たった一度だけ異性にふれたその指先が産んだ生命を、パパは大切にするだろうけれど、パパがほんとうに愛しているのは、パパと同性のひとなのだから。