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手話考察 No.2 〜翻訳シリーズ〜 「よくみえる」

:”よくみえる”ってどういうコト?

手話考察 No.2!はじまりました〜。
今回は翻訳シリーズ!
いつまで続けられることやら?笑

今回の手話マンツーマン受講生からの
質問ワンフレーズはコチラ!!
↓↓↓
「 あのビルの上からは大文字がよくみえる 」

さて、ということで、
今回のフレーズは…

【 (大文字が)よくみえる 】。

日本語対応手話(中間手話)で表すとすれば、
日本語の語順どおり、そのまま対応させるように、

(大文字/)良い/見る/できる(大丈夫)

ですね。

手話→音声日本語に翻訳できる、
つまり、
”日本語が解る”ろう者の場合は、
この表現でも差し支えない

かと思います。

コトバ(言語)の本質は
話者の意図、つまり
ニュアンスを伝えること、ですから。

しかし、日本語として理解できないろう者、
つまり識字力が無い(低い)ろう者もおられる

ことも念頭に入れておかねばなりません。

彼らは写像的(写真や映像のよう)な表現を
使う(好む)傾向にあるように思います。

なるほど、彼らの表す手話はとてもリアルで、
そこに無いものが目の前にあるかのようですし、
ずいぶん前の話なのに、さも今経験しているかのよう!
イメージに富んだ表現が多く、つい見惚れてしまいます。
(理解するのに時間はかかりますが…笑)

この表現に近いのが”日本手話”。
(日本手話として区分される前は”ろう手話”とする
 方もおられるようですが、この件については割愛。)

”日本手話”は、
日本語の語順とは手話表現の順が違ううえに、
字面に直接単語を当てはめていくことは
あまりありません。

平たく言えば、
日本手話は ”具体的” で、
反して、
日本語対応手話は、音声日本語同様、
 ”抽象的” ではないでしょうか。

さて、それらを踏まえて、
【 (大文字が)よくみえる 】
を訳してみましょう。
※翻訳の際、くれぐれも文章の前後関係には注意してください。
 文脈によってはニュアンスが変わってくるので。

そもそも、「(大文字が)よくみえる」とは、
具体的にどういうことなのでしょう。
(このように常にモノゴトを具体的に考えるクセを
 持っておく
ことが案外ヒケツだったりします。)

・はっきり(/見る)(はっきり見える)
 そこから派生させ、
・キレイ(/見る)(キレイに見える) 
・大きい(/見る)(大きく見える) 
・(大文字の)「大」の字を目の前に大きく空書

とすることもできるのではないかなと思います。
(/見る)としているのは、
これらは視覚に関わる言葉なので、
省いても差し支えないように思えたためです。

これらは大文字自体の「 状態 
としてまとめることができますね。

これだけでもいいと思うのですが、
さらに掘り進めてみましょう。

大文字をキレイにみれた時、
話者はどうなる(変化する)のでしょうか。

・気持ちいい(こころよい)
・嬉しい(楽しい?)
・満足(OK!)
・幸せ

となることは想像に難くありませんね。

つまり、これらは話者の「感情・キモチ
としてまとめることができますね。

とすれば、
【 (大文字が)よくみえる 】は、
【   はっきり(/見る)/気持ちいい  】

このように、
「状態」と「感情」をセットに
してもいいのではないか、と思います。

この表現が通じない場合はありますし、
読者の皆さんにも考えていただくためにも
余白は残していきたいので、
あえて”正解”とすることは控えます

言語の中で”(絶対的な)正解”を作ってしまうことは、
話者が持つ”正解”の数の多い少ないからくる、
力関係を作ってしまうことになり、
言語を殺すことにつながると思っています。

少し逸れましたが、
日本語文を日本手話に換えるときの
具体化のポイント(着眼点)として、

・モノゴトの「状態」
・人物の「感情」

に着目されてみてはいかがでしょうか?

ああ、幾星霜。

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