青春アンダーグラウンド

誰かと
違わぬように
寄り添うように
変わらぬように
離れぬように
ようにようにようにと
考えるうちに
気付かぬうちに
知らぬうちに
心がいなくなっていた

中学校給食後の5限目水曜日
僕らは道徳の教科書を開いた
地球の外周に立ち手を結ぶ人々
みんな幸せそうに笑っていた
「人間みな平等。支え合って生きよう。」という建前
だって僕は教室で笑えなかったのだから

黒髪ストレート白肌細足
あの子が私のアレみて言ったんだ
あなたの個性は素敵だよ
自分らしさがあっていいねって
だから私みたいになりたいか聞いた
当たり前だよね
返事はなかった

誰かと
違わぬように
寄り添うように
離れぬように
変わらぬように
ようにようにようにと
考えるうちに
気付かぬうちに
知らぬうちに
心がいなくなっていた

私の心よ
消えないで
いなくならないで
なんでこんなことになるの
君が
責任とってよ
返して
元に戻して
どうかそばにいてよ

多様性って言葉流行ってるけど
異文化言語肌の色、なんでしょ
僕らには当てはまらない言葉だ

マイノリティはマジョリティに
認められなくてはいけない構造
あの子は許可を下しただけだ
その姿のまま歩いていいよって

紺色の制服に袖を通したあの時から
黒髪ストレート白肌細足
それ以外が醜く写る
この目が憎い

心に
違わぬように
寄り添うように
変わらぬように
離れぬようにと
生きられたらよかったのに

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