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引きこもる我が子への親のとりくみ。

引きこもる我が子への対応をどうすれば良いのかわからない親は多いと思います。大抵は子にカウンセリングを受けさせたり、または主に母親がカウンセラーや専門機関などに相談に行かれたり、子供が引きこもり関係のグループや団体に通ったりというものだと思います。そしてこれらに共通することは子供の自立を目指し、社会との繋がりを取り戻すというものです。また学校に行けるようになること、働くことを援助することが主な方向となります。
確かにこのやり方で一時的には回復し復学、社会復帰までいかれる方も多いです。しかし何年かしてから何らかの出来事(仕事場での人間関係、失恋、結婚生活の問題、鬱など)をきっかけにまた引きこもりに戻ってしまう現実を体験されている方もまた多いはずです。いわゆる *ぶり返し* というものです。その原因は経済的な自立を目指してはいるが、精神的な自立の方には目を向けていないということです。

引きこもりの最大の原因は多くの場合、親子関係にあります。子供は親子関係を通して人間関係を築く方法を獲得していきます。親に愛され守られ、温かい言葉をかけられ、褒められ、本音で話せるような環境であったか?
「あなたのことを愛しているよ、大好きだよ、大切だよ、立派だったね。」
という言葉を子供にかけていたか、手をつなぎ抱きしめていたか?こういった親子の交流がある場合、確かな自己像や自己肯定感、自尊心などが育ち、そしてそれは他者との関係へと広がっていきます。他者や社会との関係は太い木の枝葉のように広がり豊かなものになっていきます。これが精神的自立です。

反対に、心の交流のない冷たいものであった。過度に厳しかった。仕事に忙しくほとんど関われていない、子供の方でも忙しい親に遠慮し寂しさを伝えることもできず甘えることもできず、しっかり者になってしまった。両親の価値観のズレが酷く、一般的な思考とかけ離れており子供が混乱を受けた。子供を利用する親であった。などなど他にも様々な状況にあり親子関係が破綻していた場合、のちに築く人間関係を取り結べなくなってしまいます。学校や職場での孤立、友人関係、恋愛関係を作っていく事ができない、ネット依存など様々な現れをします。関係を持続していくことが難しい、やり方がわからないという事です。そしてその人の中での孤立の辛さから逃れるために部屋に籠るという選択をしたものが引きこもりという状況です。壊れた家庭や周囲の現状を維持するために、自分を犠牲にし、力を出しつくし燃え尽きてしまった姿でもあります。人間関係の土台となる親子関係が崩れているために起こるものです。
根本の細い、弱々しい今にも折れそうな木は、わずかな枝葉しかまとえないというイメージが浮かびます。
例え枝葉が多くともその重さに幹が耐えられなくなるのです。

引きこもる子供さんに共通することとして反抗期がないという事が挙げられます。親に厳しくしつけられる。それこそ力で子を親の都合のいいように従わせる。親に心配をかけまいと子供が気遣い反抗しなかった。子供がひどい親、弱々しい親を見かぎり、そもそも眼中にない。父親と母親の仲が悪く、子供が2人の中を取り持っていた。複雑な家庭環境。他にも様々な事情がありますが、
反抗期がないということは「重症である」ということです。
子供の自我が育っていないのです。

うまい説明をされた方がいて、例えば子供が友達と外に遊びにいき17:00までに帰って来なさいと言われていました。子供は楽しく遊んでいたのですが時間になります。この時にもう少し遊んでいたいと時間を無視して遊べる子供には反抗期が起こります。そして遅れて帰ってきた子供をしからず、事情を聞き、
「そう、そんなに楽しかったのね。」という親であるなら更にいいと思います。
対して、時間通りに帰らないとガミガミ叱られる、罰を与えられる。親に心配かけちゃダメだと規則通りに帰ってしまう子供は反抗期を起こせなくなります。


ここから本題の親の対応の仕方について書いていきます。
まず引きこもる本人が望まない限りカウンセリング、相談施設などに通わせるようなことは一切しなくて構いません。無理に学校に行かせようとしたり、働かせるようにさせることもしないでください。
その代わり、破綻している親子関係を正常なものに戻すことに親が取り組んでいく必要があります。親がカウンセリングや相談機関に行くのです。ただここで大きな問題があり、ほぼほとんどの施設では引きこもる本人をどうにかしようとする対応が多いと思います。親はサポート役になっていてという感じです。ですがこのやり方では冒頭でも書きましたが一時的には良くなりますが持続はしないと思ってください。なぜなら破綻した親子関係は破綻したままだからです。ですので親の取り組みに力を入れたカウンセラー、相談機関を見つけてそこに相談して頂きたいのです。
親の取り組みというのは、引きこもる子供と会話が途絶している事が多いと思うのですが、それにどう対応していくか。時に荒れ狂ったようになる子供にどう対処するか。そもそもなぜ子供は引きこもるようになってしまったのかという事の理解。傾聴の仕方。子供の回復の過程を知るという事です。そういった事に取り組んでる施設は数少ないですが存在します。そうやって親子関係が破綻していることを親自身が客観視し理解していき、修正していくことが最も確実な方法になります。

社会と断絶するという非常に危険なリスクを負いながら、そうやって子供は親に成長し変わってくれと命懸けで伝えていると捉えることもできます。

親が確かな親子関係を作り直す事ができれば、子供はちゃんと回復していきます。これは約束された確かな事です。
取り組みが10代までであるなら、何年という時間がかかります。ですが、20代になってしまった場合は10年程、30代を過ぎた場合は何十年という時間を必要とすると言われています。
50:80問題というものもあります。子が50代になり、親が80代になる。親と死別し、親の年金という収入源が無くなってしまい、精神的、経済的な問題となるというものです。重い現実です。もし近道があるとするなら、子供になんとかさせようなどとは思わずその現実を受け止め、親自身がしっかりと腹を据えて、腰を据えて真摯に取り組むこと。これ以外にはないと思います。
親自身が子供との触れ合い方を学び、子供を育て直すという感覚です。見守ってさえいればなんとかなるだろうとか、子供を変えようとするのではなく、親自身が変わること。これこそが確かな方法なのです。


ここまで厳しいことを書いてきた気もしますが、適切な相談機関では父親や母親に向けた講座などがあり、そこで仲間とも出会えると思います。一人だけの力で挑むにはあまりに困難ですが、皆の経験や知恵を共有し、やってられないよねー、しんどいよねー、本当に子供は回復できるのですか? と共感し合いながら取り組むならだいぶ楽になられると思います。ぜひ取り組んでいただけたらと思っています。


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