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【2日目?】短歌を小説にしてみよう

実は、三山重です。

いつのことだか思い出してごらん。あんなこと、こんなことあったでしょう。というほどに前の投稿なのですが。

こちらで書いた短歌を元に短編小説を書きましょうよ、という企画だけ立てて、何も出来ずに療養の日々を過ごしておりました。無意味を産むのが得意すぎる。

やっとの思いで書いたものですから、見てください。石を投げるのはその後でも受け付けますので。いてっ、早い人がいるな。

今回は気に入った一句をピックアップして書きました。短歌をタイトル(テーマ)として短編を書くシリーズ、重ねていって本を作れたら楽しそうだなと思いました。

今回、短歌を元に小説を書くにあたって、思考の部分を全部さらけ出してみることにしました。私なんぞの組み立て方を知るところで参考になるかはわかりませんが、小説を書く足がかりを探している人のヒントになればいいなと思います。


短歌を決める

小説を書くにあたって、以前詠んだ25句の中からテーマにする短歌を決めます。

今回振り返ったときに好きな作品がいくつかあって、自分の感性を自分で好きと思えてよかったなあ、と思うなどしました。

小説のテーマに出来そうな短歌は、背景を掘り起こしやすそうとか、登場人物を三人以上作れそうだなというものをイメージします。

山々の 全ての色を 飲み込んで
逆立ちの今を 揺らす気まぐれ

景色の描写がメインになっているので、なかなか人物を起こすのが難しいなとこういう作品は今回は排除していきます。

「おかえり」と言って欲しいだけだった
顔も見えずに出てってごめんね

主人公と、その後悔の相手。それが家族なのか恋人なのか、という深掘りは様々なれど、登場人物と関係性を作りやすいので、こういう句を掘っていくといいな。掘っていきたいなと思う。

加えて、自分の得意な空気感だったり、温度だったりを考えて、悩んで。

見てません 私は本を読んでたの
父を殺したことは知らない

今回はこちらの短歌をテーマに執筆することに決定。
少女と父親、そして父親を殺した犯人。三人の登場人物を設定することに成功。三人以上の矢印があることで、物語が動かしやすくなる(事件を起こすことができる)ので、関係値がわかりやすそうだということも含めて、挑戦していきます。

奥行きを考える

【短歌元画像】怯えた小動物のような瞳で見つめる

見てません 私は本を読んでたの
父を殺したことは知らない

登場人物は「私」「父」「父を殺した犯人」。
「私」は小学4年生の女の子。沢山の本と、綺麗な洋服、肌つやからお金持ちのお嬢様のイメージ。なんでも与えられてるが、父親からの愛情はなかなか感じることができない(抱きしめて貰えない)。年齢の割に大人びていて、達観している印象。

「父」は資産家であり、仕事に追われ家族のことに手がなかなか手が回らない。代わりに娘になんでも買い与えているが、それを愛情と勘違いしすれ違っている。部屋の書庫を自由に使って良いと娘に開放している。本には全てがあると思っている。「私」は本の中に自由があると信じ、書庫によくいるように。ここにいれば「父」の愛に触れられるような気がしているためでもある。

「見てません」と「私」が言うのは、その「犯人」が他人か身内かで意味合いが異なってくる。他人だった場合、自分への危機を回避するため、自衛のためという意味になる。身内だった場合、相手を守るため、証人としての言葉だったり、罪を隠蔽するための同調になる。
わざと「父を殺したことは知らない」と続けているのは、自衛だった場合それは逆効果になるだろう。だってその発言は「知っている」ことの証明でしかないのだ。だから今回は「私」が知っている(好きな)人の犯行であるとするのが自然。

お金持ちの設定にしたので、家族ではなく、お手伝いさんなどの身内に近い他人という設定にすることにした。家族のようで家族ではない内部の人間であれば、「復讐」などといったカードを切りやすい。
→なぜ「私」が庇うのか。好きの感情。寄り添えば、自分に徳がある? 利害の一致。幼心なりに恋愛感情を抱いている。

シーンを切り取る

今回は1000文字前後を想定しているので、物語の中のシーンを切り取って描写する。
「見てません」の台詞の前後を描きたいので、殺人を行った直後から「私」が気がつき、相手を試す(煽る)までを書いていく。

時系列
1「私」が「父」の部屋(書斎)で読書をしている
2「父」が部屋にやってくる
3「犯人」が片付けのために「父」の部屋に入ってくる
4「犯人」が「父」を殺害する
5「犯人」が「私」に気がつく

短歌で描いているのはこの「5」のシーンであるので、ここを補足するような形で小説にしていく。

つまり、小説として描くとき起点になるのは「5」のシーン。(プロットを作っていく)

「犯人」が「私」に気がつく
→見られていたことにここではじめて気がつく。
「私」が「犯人」に「知らない」と言う
→「犯人」に好意を寄せていたため。「犯人」と結ばれるためには父親が障害だと感じていた。→「父親殺し」を責める理由が「私」にはなかった。むしろ感謝をしている。見ていないことにすることで共犯になってもいいと思っている。
「犯人」が「私」に応える
→①「私」の言葉を受け取って、共犯として抱き込む
 ②「私」も復讐の対象であるため、言葉を受け取ることなく、そのまま「私」も手にかける
 ③「私」の言葉を信用できず、口封じのため手にかける

→「犯人」が「父」を殺害した理由は?

形にする

ここまで組んだプロットや設定を元に、実際に書いていく。おおまかな字数を今回は設定したので、寄り道をしすぎないようにしながら整え、推敲して完成。

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しました。いかがでしたでしょうか。説明が下手すぎて恐縮。説明というよりも、自己の整理に近い形になりました。普段このような流れで短編を執筆しています。何かの助けだったり、参考になれば幸い。

短歌を小説にすること。一文小説という表現を大学入学前のスクーリングで経験したのですが、それに近しい物を感じる制作過程となりました。

三日目に続く。

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