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良い部下になれない

 夜中にものを書くのは良くないとわかっていながら、今日はもやもやして眠れそうにないので 恥を晒す覚悟で吐き出してみようと思う。

社会人3年生。気分も仕事内容もまだまだ1年目なのに、時間だけはちゃんと過ぎて行くので、なんだか焦る。今年は、初めての異動を体験し、職場も上司も仕事内容もガラリと変わった。また0からスタートだ。

 私は、上司にとって良い部下でありたい。上司を困らせようとか、嫌われようとか、そう思う人っていないんじゃないだろうか。できれば良好な関係でいたいと思うのが普通だと思う。

 しかし、良い部下でありたいと思うと同時に、良い上司であってほしいと望むのは、やっぱり生意気なことなのだろうか。

 異動前、つまり社会人になって初めての上司は、それはそれは素敵な人だった。仕事は丁寧に教えてくれたし、公私問わずどんな話も聞いてくれて、一緒に解決策を探してくれた。この人を困らせてはいけない、何か仕事で返せることはないだろうか、と自然に思えた。実際に、どれほど役に立てたのかはわからないけれど、職場が離れた今も、定期的に連絡をとったり、プライベートでも出かけたりと仲良くしてもらっている。こんな人の下で働けて、私は運がいいなと思った。

 本当に、運が良かったのだなと気づいたのは最近で、3年目にして現実を突き付けられている。上司が何を考えているのかわからないけれど、私に興味が無いことだけはよくわかる。

 表向きは、「良い上司」なのだ。ハラスメントに敏感な時代に合わせているのか、私がミスをしても絶対に叱らないし、自分の仕事は決して私に手伝わせない。ミスは黙って訂正したりするし、仕事を手伝いたいと申し出ても頑なに断られる。この潔癖ともいえる態度が、なんだか私には気持ち悪いのだ。
 ミスは私が気をつければ良い話ではあるけれど、業務内容は初めてのものだし、何回も同じミスを繰り返しているわけではない。黙って訂正されただけでは、ミスをミスと気づかないまま、何度も繰り返してしまうと思うのだ。だったらピシッと怒鳴ってくれた方が、何倍もマシだ、と思う。
  仕事を手伝いたい旨も、社交辞令で言っているわけではないのに、こうも何度も頑なに断られると、拒絶された気分になって落ち込むので、最近は食い下がらないようにしている。

 何も言わず波風を立てないことは、穏やかではあるかもしれないが、優しさではない、という事実に気づいた社会人3年目。何も言わないだけで、優しいわけではない上司にとって、良い部下とはどんな人間なのだろうか。やっぱり、何も言わずに、黙ってなされた訂正箇所に気づき、自分で治せる人間なのだろうか。それともそもそもミスをしないコンピュータのような人間なのだろうか。

 そういえば、上司は私の名前を呼ばない。私が作業をしている時でも、いきなり話し始めるので、いつも主語を聞き逃す。聞き返すと怪訝な顔をされる。もしかすると、人間だと思われていないのかもしれない。

 そんな悩みを抱えながら、まずは淡々と仕事をすることにした。そして今日、衝撃的なできごとがあった。

 ある電話を受けて、ひととおり応対が終わったあと、上司から「電話、俺が出るから出なくていいよ」との一言。さっきの電話対応で、何か良くない点があったのなら、指摘してほしいけど、何の理由も説明もない。俺がとるからいいよ、の一点張り。これは何かの優しさだったのだろうか。(電話に出てくれて)ありがとうございます、が言えなかった。
 この人は、私の今後なんて、まったくどうでもいいのだな、とはっきりわかった一言だった。この人のために、この人に合わせて良い部下になろうとしなくてもいいや、と思ってしまった。

 私は生意気だろうか。

 


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