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世界銀行総裁交代と地球温暖化対策(CFACTの記事)

写真出展:Gerd AltmannによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/geralt-9301/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=7216231

 2023年3月1日にCFACTは、世界銀行総裁の交代と地球温暖化対策の関係についての記事を発表した。内容は、世界銀行の現在の動きと、マルパス総裁が6月に退任するに伴い、新たに指名されたバンガ候補に交代した場合の影響等について概観するものである。
 ウクライナ戦争に伴い化石燃料の重要性が認識され始めたことから、石油や天然ガスに対する批判はやや弱まってはいるが、再生可能エネルギー推進の潮流それ自体は全く止まってはおらず、あらゆる側面から徐々に浸透しているのである。今回は金融面における地球温暖化対策の思想汚染を把握できる情報として、本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(The World Bank takes an energy wrong turn)
https://www.cfact.org/2023/03/01/the-world-bank-takes-an-energy-wrong-turn/

1.本記事の内容について
 ・世界銀行のデイヴィッド・マルパス総裁が6月に退任するに伴い、バイデン政権は元マスターカードのCEOであるアジェイ・バンガを後任に指名した。バイデン政権は、気候変動対策を世界の喫緊の課題としており、金融部門にもこの課題に取り組むよう政策を推進していることから、この人事はバイデン政権が気候変動対策を優先し、世界銀行の本来の役割である貧困撲滅や経済発展を後回しにするという意思表示と言えるだろう。
 ・この人事は、2012年に指名されたジム・ヨン・キム総裁の例を彷彿とさせる。キム総裁の下で、世界銀行は気候変動対策を優先するあまり反経済成長路線を突き進むことになり、世界の貧困者層は犠牲になったのである。具体的には、石炭鉄道への融資を全面禁止し、パリ協定後には石油やガスの生産を抑制する方向での融資方針を打ち出した。
 ・化石燃料を活用できなくなるということは、発展途上国にとっては死刑宣告も同様である。世界では薪や家畜のふんなどを家庭の火力として利用している人が20億人以上もいるが、屋内の空気が汚染されることで、年間200万人いじょうが無くなっているとされており、化石燃料が利用できないことによる健康被害は甚大である。また経済発展も阻害され、生活の質が向上しないこととなる。
 ・マルパス総裁は、世界銀行を立て直すべく、トランプ政権により選任された。政権交代により、地球温暖化否定論者としてバイデン政権から批判され、CNNのインタビューで温暖化対策に取り生むと発言を修正することを余儀なくされ、アル・ゴアなどの論者からも批判にさらされている。ただ、発展途上国はエネルギーをそれほど消費していないことから、記入支援による温室効果ガス抑制効果は非常に低くなると考えられる。2021年のデータによると、アフリカ大陸の人口は14億人であるのに対して電力消費量は897.5tWhであることから、1人当たり644kWhしか使用しておらず、消費量も世界全体の3.2%しか占めていない。これはアメリカ人家庭平均の3週間分でしかないのである。
 ・また、発展途上国が風力や太陽光のような不安定な電源しか利用できないようにすることも、貧困に拍車をかけることになる。先進国は年間1,000億ドルの気候変動対策基金を国際会議などの席で約束しているが、当の発展途上国には配分されておらず、実際の勝者はウォールストリートと中国になっている。世界銀行は、アメリカ人の税金から多額の資金が投入されており、中国の2.7倍も割り当てられているが、この資金は中国の太陽光発電パネルの生産やレアアースの採掘などに流れている。
 ・指名されたバンガ候補は、おそらくバイデン政権の移行を強く反映しようとするだろうが、下院共和党がこの状況を黙って見ているとは思えない。世界銀行には発展途上国支援、地球温暖化対策の推進、解体という3つの選択肢しかない。しかし地球温暖化対策は、合意形成が困難な事項が数多く含まれており、融資が悪い結果を生み出すことになる。もし新総裁が地球温暖化対策を推進するのであれば、世界銀行は解体されるべきだろう。

2.本記事読後の感想
 世界銀行の総裁はアメリカ人から選ばれるというのは、不文律であるが厳格に守られている。要するに、多国間の枠組みで設立された巨大な金融組織をアメリカが仕切る形になっているというわけだ。従って、世界銀行の融資先は、アメリカの政権や国益の観点から動かされる部分があるのはやむを得ないのである。
 ただ困ったことに、気候変動対策に巨額の資金を投じるのは、無駄を通り越して有害ですらある。先進国の一部有力者のお花畑な価値観のために、多くの人々が塗炭の苦しみを味わうことになり、潤うのは中国のようなならず者国家なのである。
 欧米の下らないルールメイキングに従わされるのは、ごめん被りたいものだ。

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