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北欧諸国の原子力・化石燃料事情

写真出展:PexelsによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/pexels-2286921/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=1283014

 2023年8月28日にCFACTは、北欧諸国の原子力・化石燃料事情(ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク)の再生可能エネルギー発電に関する記事を発表した。内容は、北欧諸国の最近の電力政策を概観し、再生可能エネルギーの非現実性を指摘するものである。
北欧諸国は脱炭素のモデル国家としての印象があるが、実際にはうまく立ち回っており、イメージを保ちつつ、自国のエネルギーを確保しているのである。日本にも見習うべき点が多々あるように思われることから、今後のエネルギー政策を考える参考として、本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(‘Scandalous’ Scandinavians rely on nukes, oil)
https://www.cfact.org/2023/08/28/scandalous-scandinavians-rely-on-nukes-oil/

1.本記事の内容について
 ・ノルウェーは、19の油田・ガス田の開発を承認し、その予算総額は185.1億ドルという巨額なものである。これは数十年間の拡張計画の一環であり、取り組みの成果か、2022年のヨーロッパにおける天然ガス供給量は、ロシアを上回った。
 2020年の原油産出量は日量7億4000万バレル(半分以上が輸出)、天然ガスは1120億メートルトン(ほぼ全量輸出)であり、GDPの14%を占める。ノルウェーの発電量の90%以上は水力発電であり、風力はたった3%程度に過ぎず、しかも北部の海洋油田施設向けの電力なのである。
・スウェーデンは、脱炭素のため今後20年で10基以上の大規模原子力発電所を建設する計画を発表した。ポアモカタリ気候変動対策大臣は、気候変動対策のために電力生産を20年で2倍に増強する必要があり、原子力が大きな役割を果たすと発言しており、事実として原子力発電所は電力の3分の1以上を供給している。スウェーデンのウラン貯蔵量はEU諸国で80%を占めており、この点からも原子力発電に注力していることがわかる。
 ・フィンランドは、電力のエネルギー源が多様な国として知られている。しかし原子力発電量は国内電力需要の3分の1を占めており、原子力発電所のおかげで2022年12月から2023年4月までの電力価格は75%も抑制された。また2022年から2023年にかけての記録的な積雪量となったこともあり、電力価格はほぼ無料に近い水準となった。
 ・デンマークは北海油田の開発を推進し、2004年には石油の大量生産国と言える水準にまで成長したが、2050年までに化石燃料の採掘を停止するため、新たな油田・ガス田の開発を停止してしまった。その結果、国内の電力量のうち、風力発電量が50%を占めることとなったが、それでもバイオマスと化石燃料の発電量は15%程度を占めている。

2.本記事読後の感想
 北欧諸国は脱炭素の最先端であるようなイメージを持っている方々も多いと思うが、それは実態を反映したものではない。出羽守のようなイメージ先行の人々の情報に騙されて環境政策などで劣等感を抱く必要はなく、下らない言説など無視すればよいのだが、情報鎖国状態の日本では、欧米諸国の虚像に騙されてしまう。
 国際政治は虚実があるということを十分理解しておく必要がある。表向き建前を見せつつ、その建前を骨抜きにして実を取るというしたたかな立ち回りが必要なのであり、北欧諸国もそれを実践しているにすぎない。こういった立ち回りは日本が最も苦手とする所であろうが、そろそろこういった稚拙な国家運営から脱却しても良い頃だろう。

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