妥協したくないから映画を作らない??(初心者の映画制作講座)
映画が作りたい!
そう思ってシナリオを書きます。
そこには、自分の理想の世界が描かれています。
出てくるヒロインは理想の女の子だし、
主人公はなりたい自分。
夕陽をバックに役者達が駆け巡る映像は美しく、
ヒロインが流す涙のバックに流れる音楽は雄大で、そして物悲しい。
この名作をどうしてくれよう!
そう思って絵コンテを描き、準備に入ります。
まずスタッフを集めようとします。
ところが、経験者が揃わない。
人の紹介で会ってはみるものの、いまいちウマが合わない。
時間がないので、キャストも集めようとします。
ところが、ピンと来る人がいない。
誰にあっても、理想像と違う。
ロケハンにも行ってみます。
雄大な夕陽をバックにする場所が、ない。
建物が邪魔をしてるし、
かと言ってものすごい田舎に行くには時間もお金もない。
*****
ここで映画を作るのを諦めてしまう人がいる。
彼らはできないから“仕方ない”と言う。
この状態で進めることを悲観してしまう。
彼らは“妥協したくない”と言います。
ちょっと待って、と思うのです。
理想通りに進まないことを“妥協”だと、僕は思いません。
延々と「その時」を待てば理想の状況になるわけでもない。
映画づくりは、タイミングもあります。
目の前に与えられた環境、状況を試してみる。
少しでも方法があるなら、それを採用してみる。
すると意外と、思いもしなかった映像が撮れたり、
想定してなかった効果が生まれたりもするのです。
描くつもりもなかったキャラクターが役者から生まれたり、
びっくりするようなセリフが飛び出したり。
映画は「作ろう」としてスタートしますが、
最後は「できあがるもの」なんですね。
理想は追いかけるべきです。
でも必ずしも、自分の考える「理想」だけが答えじゃないと、
目の前の組み合わせを楽しむ余裕も大切です。
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