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本当は怖いオート機能(初心者の映画制作講座)

この記事は、「映画/動画が作れるようになるメールマガジン」の過去のものからピックアップしてご紹介しています。

ビデオカメラには、「オート機能」というものが付いています。
いろんな設定を、自動で判別してくれる便利な機能ですね。

例えばカメラを人に向けると、勝手に焦点を合わせてくれたり、室内の蛍光灯に合わせて色あいを調整してくれたりします。

「オート機能さえ使っていれば問題ない」

なーんて考えたりしてませんか?
※僕は昔、考えてました。


ちょっと具体的に見てみましょう。

例えばオートフォーカス。

カメラを三脚に載せて固定。役者は椅子に座って携帯をいじっている。

カメラが映す構図の真ん中に役者の顔が来るようにすれば、役者の顔に「オート」で焦点が合います。

ところが、役者がおもむろに立ち上がる。
すると、カメラは、もともと顔があった場所、つまり役者の背景に、ウィーーーンと焦点を当ててしまうのです。

これは興ざめです。
カメラは律義に、決まった場所に焦点を当てようとしてしまう。
だから、動きのある被写体に、オート機能は向かない。


この現象を意図的に映像に入れることでドキュメンタリー感を出す、という映画もあるりますね。
ホラーものとか、戦場ものとかね。

オート機能で気をつけるのは、焦点だけじゃありません。

色合いも切り替わっちゃうんです。

被写体が動くことでカメラレンズへの光の当たり方も変わってしまう。
すると、役者の顔が黄色っぽくなったりする。

また、被写体が動くだけじゃなく、カメラが移動する時も注意です。

TVの報道番組やバラエティー番組などで見たことありませんか?
カメラが、タレントや記者の背後から追っていく。

玄関から室内に入った時、カチッと自動で色合いが切り替わる。
一瞬、シャッターを押したようになってしまう。

これは、カメラが自分の置かれた状況に合わせて、自動的に設定を変えているからですね。

オートと違い、マニュアルにすると、焦点や色合いが固定されます。
これはすごくいい点です。
上記のいろんなパターンの問題を解決してくれます。

しかし、マニュアルにしておきさえすればいいかと言うと、
これがまたそうでもない・・。

今度は被写体が動いたとき、つまりカメラとの距離が近くなったり遠くなったりした時が難しいのです。
途端に役者がボケてしまう。

運動会で使うような、一般的な家庭用ビデオカメラは、焦点を合わせる範囲がすごく広く作られてます。
だから、ボケてしまう、というトラブルは比較的少ないかもしれません。

一方、一眼レフを使った動画撮影では、焦点を合わせる範囲が狭いので、あっという間にぼやけてしまいます。

こういう細かい部分が、「プロとアマの差」につながっていくんですね。
ちょっと目が肥えた人が見ると、「ああ、惜しい・・」と思ってしまう。

こういったことは、頭で理解するんじゃなく、
とにかくカメラを持って普段からいろんなものを撮影してほしいと思います。
カメラの性能を身体で覚える。

今はスマホでも十分でしょう。
今述べたことは、すべて、スマホでも再現できます。
動画機能を存分に使って、実験しておきましょう。

撮影現場では、機能をじっくり頭で考えている余裕はありませんからね。


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