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刈谷メソッド_16 「見出しの階層、例と図の頻度」

◎見出しの階層を考える

 これもゲムマカタログに掲載されている「刈谷式 ボードゲームのルールブックの書き方」で詳しく説明してありますが、ここでも繰り返すことにします。
 「14_ルールブックは分かりやすさがすべて」でも添付しましたが、『のびのびTRPG ザ・ホラー』のルールブックの見出しを載せてみます。
 この例では、階層ごとに行頭を1スペースぶん空けています。つまり「ゲームの流れ」「ゲームの準備」「ゲームの進行」といった見出しが同格で、「PCカードを選ぶ」「内容物を場の中央に置く」といった見出しがその下で同格というわけです。

 あくまで個人的な感覚ですが、この一番上の階層の見出しは、原則ページの頭にあった方がいいと思います。可能なら見開きの頭にまでこだわると、読みやすくなると思います。

 あと特に強調しておきたいのは、見出しの階層の数です。ルールの分量にもよりますが、多くても3つまでにとどめるべきです。4つにするときは、本当にそうしなくてはならないのか、よほど慎重に考えるべきでしょう。
 階層を絞るのは、もちろんその方が読みやすいからです。

 ただそのとき、「素直に考えると構造的に多くの見出しを必要とする」際の処理が問題になります。文章で説明しようとすると混乱しそうになりますが、要は下記のような構造のルールの場合です。

16の例1

 ……素直に考えればこれで4段階です。
 これを受けて素直に4段階の見出しを作ると、4つ目の「戦闘の基本処理」の見出しは相当小さいものになります(もしくは「ゲームの進行」の見出しがめちゃくちゃに大きいか)。
 ところが往々にして、この4つ目の見出しで語られるルールこそがゲームの核の部分だったりします。こここそ、大きな見出しで見開きの頭に持って来たい――そういう状況がままあります。

 そうした場合、下記のような処理をして良いと考えています。

16の例2

 つまり「ゲームの進行」と「準備フェイズ」「行動フェイズ」の見出しの大きさを同格にするということです。
 これは厳密な意味では、正しい階層になっていません。
 ですが「戦闘の基本処理」の扱いはもちろん、その手前の「戦闘」も大きくすることができました。
 どちらが読みやすいかと言えば、これも人それぞれではありますが、やはりどちらかと言えば後者のレイアウトの方を読みやすく感じる人の方が多いように思います。

 見出しの階層については、
「大きな見出しはページ頭から始めると見やすい」
「多くても3つまでにする」
「階層が増えそうなときは、本来上下がある見出しをまとめるのもアリ」
 といったあたりを意識すればそれでよいかと思います。

 あとここまで書いておいてなんですが、きょうびそこまで見出しの階層の多いルールブックが書かれることは多くない気がします。
 ペラ紙1枚ですむようなルールブックでは、このへんはあまり考える必要はありません(笑)。

◎例と図の頻度

 ルールブックに例と図をどれくらいの頻度で挿入すべきかは……まあ、これも別に決まりがあるわけではありませんので、好みで調整してかまいません。

 実際には、レイアウトの余裕と相談しながら適宜挿入する形になることが多いのではないでしょうか。

 ここで注意したいのは、レイアウト的に余裕がないからと、例や図があった方がいい場所にもかかわらず、削ってしまう行為です。
 もちろん本当にどうしようもないこともあります。ただ、ここは「頑張ってスペースを増やす手段はないのか」と、相当慎重に考えるべきです。
 理由はもちろん、図や例が豊富にあった方が読みやすく、分かりやすいからです。

 確かにそれでルールブックが分厚くなり、読む前から遊ぶ人を威圧してしまうようだと本末転倒です。ですがびっしり文字が詰まったルールブックも、それはそれで威圧されてしまうものです。
 最初威圧されたとしても、「ページを開いてみると案外イラストや図、例が豊富で読みやすそうだぞ」という方が体験としてマシなのではないかと思っているのですが、どうでしょうか。ここは人によって感じ方が違うので難しい部分です。

 コツとしては、最初に多めに余裕を取っておくことです。
「15_1ページのテキスト分量と見開きについて」で、「テキスト量の1.5倍くらいの余裕をもってページを取ればよい」と書きましたが、そういうことです。
 もっと見やすさに気を遣うなら、思い切って倍のスペースを取っておくのもアリかもしれません。1.5倍のスペースと言うと多く見えますが、割とすぐ使い切ってしまうものです。
「実際に遊んでいるシーンの図をふんだんに入れたい!」と思うなら、ドーンとスペースを取っていいと思います。

 最初から厳しめのスペースを用意して、「図や例を入れたいけど、どうしても入れられない!」と悩む……といったことがあるかと思いますが、そうした際は少し距離を取ってルールブックを眺めて、「ルールブックのサイズはこうでなければならないのか」というところから考え直しても良いと思います。
 その段階だと大体8~9割レイアウト案は完成しているはずなので、それを構成し直すのは面倒ですし、うんざりする行為です。
 ですがもうそこまで言っているので、やり直しても最初の1/10くらいの作業料で構成し直すことができるはずです。

 ルールブックは基本的にスクラップ&ビルド。
 やり直す手間を惜しんではいけません。
 どうしても気に入らない部分を解消するため、それまでのもを捨てて新しい案を生み出すたび、その苦痛や痛みがあなたを成長させるはずです。


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