梅に引き寄せられて突撃

昨日バスを降りる時に、運転手さんに

「ありがとうございました」

と言おうとして、

「ご馳走さまでした」

と言ってしまいました。

直前にカレーライスを食べてお腹いっぱいだったもんですから。。。


さっ、それはさておき、今日はちょっといい事がありました。

外苑前で用事を済ませた帰り、裏通りに何かないかな〜と歩いていると、

とあるビルの目の前、ちょうど角を曲がる所の目線の位置に、梅の鉢植えが置いてあったんですね。

なんだかそれが自分のところを飾りたてる為でもなく、

道ゆく人に

「ちょうど見頃なので、どうぞ観ていってくださいね」

というような、持ち主さんの温かい計らいを感じて、

「ああ、なんかいいな」

と見入ってしまいました。

そして、そのひと時、この梅の持ち主さんと会話したような感覚を勝手に覚えたんですね。

そしたら、その人に会ってみたくなったんです。

きっと植物や暮らしの小さなことを大切にされてるのではないかな、なんて想像したりして。


ビルの1階の衣装屋さん(?)かなと覗いてみたのですが何となく空気感が違うような気が。

すると、地下に降りる階段があり、階段のそばに植物がたくさんあってとてもいい空気感。こちらに違いない!と確信しました。

どうやらフランス料理屋さんで、今仕込み中のようで閉まっていました。

でも勇気を出して、
すみません、、、とドアを開けようとした時、丁度店長さんが私に気付いて出てきてくださったんです。

「あの、、、あちらの梅はこちらのですか??すごくいいなと思って、、、」

と尋ねると、

「はい、うちのですよ。植物はいろいろと大切にしてますよ」

と優しく答えてくださいました。

店内も花をかかさず、週2でメンテ入れてらっしゃるとのこと。
やはり素敵だなぁ。

でも、こんな風に突撃してきた私は何か怪しい奴みたいに思われるかなと、何とか自己紹介したかったんですが、

「私、花をやってまして何かありましたら〜」

なんて営業みたいな事を言ってしまう始末。

それにも丁寧にいろいろとお話してくださってありがたかったです。

しかも、

「色彩の事とかもっと知りたいので何かリンクとかあったら是非教えてくださいね」

なんておっしゃってくださいました。

初対面でお客さんでもない人にこんなに品よく接してくださるなんて、なかなかできないと思います。

本当に素敵な方でした。


日頃市場の切り花とは接していますが、生活圏で接する草木、——「市井の花」とでも言いましょうか——は、大自然の中にある草花ともまた違って、少し先の暮らしにほんのり希望を与えてくれます。

そんな街角の梅が温かい情動を引き起こして巡り合いの縁をくれた、立春の嬉しい出来事でした。


そういえばこの間、某監督が自転車で街巡りをしてる時に見つけたヨガスタジオに突然訪問して、通い始めて、映画の上映までしてっていう話を聞いて、

そういう検索で分かりえない現場の匂いと勘で未来を切り拓いていくのって素敵だなーって思ったところでした。

なので、これから今日みたいにあー素敵!って思ったり、ここで花生けさせていただきたい!って感じてしまったら、本当に突撃訪問してみるのもいいかもなーって思ったりしました。

梅の上にはハナミズキの蕾が春を待っていました。

⚫︎ ysm(イズム)
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