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誰でも再現できる「人の記憶に焼き付けるアイデア」の作り方、6つのルールとは


誰でも人の記憶に焼き付くアイデアが生み出せる?

そんな法則があるなんて...もっと早く知りたかった!その法則が一冊でわかって、すぐに実践に移せる本こちら!

名著『アイデアのちから(日経BP社)』(チップ・ハース、ダン・ハース著)


なぜこの本を読んだかというと、「人の記憶に焼き付けるアイデアなり企画」「面白い企画」「熱狂してもらえる企画」や「思わずクリックしてしまう記事」の作り方の法則が知りたかった。(上司から本をお借りしました)

この本のアイデアの法則は一生使えて、これを身につけるだけで誰でもアイデアを記憶に焼き付けることができるとも書いてあり、とてもワクワクさせるものでした。(もちろん何度も繰り返し実践あるのみ)

記憶に焼き付くアイデアの6つのパターンとは

六つの原則とは
Simple 単純明快さ
Unexpected 意外性
Concrete 具体性
Credible 信頼性
Emotional 感情
Story 物語

ジョン・F・ケネディの「60年代末までに人類を月に立たせ、安全に帰還させよう」という有名な言葉はこれらが当てはまっている。
単純明快か。YES!
意外性はあるか。YES!
具体的か。YES!
信頼性はあるか。YES!(SFもどきだけど、語り手は信頼できる)
感情を掻き立てるか。YES!
物語性は。YES!(ごく短いがある。)

この本では、「SUCCEs」の6原則に当てはまったパターンがたくさん紹介されています。その中から印象に残ったストーリーをあげます。


一.単純明快である

核となる部分を見つけることを見い出し、核となる部分を簡潔に伝えることが必要。

(1)既にあるものを利用
例:ザボン→超大型のグレープフルーツ

(2)明確なコンセプトの企画
ハリウッド映画界では「明確なコンセプトの企画」という核となるアイデアが常に求められている。なぜなら、莫大な予算を使うため、よほど優れたアイデアではなければ、手を出さないのは至極当然のこと。

例:『スピード』は「バスを舞台にした『ダイ・ハード』」
それまで読者の頭に存在しなかった語をイメージさせ、ワクワクさせるほどの意味を持たせます。重要な決断も下せるはず。


(3)創造的類推の利用
例としてディズニーランドの「スタッフ」という比喩があげられていました。
ディズニーランドはスタッフのことを「キャスト」というのは知られているところですが、この類推があることで従業員の指針に大きく役立っています。

園内を歩く時は舞台に立っている、キャストの面接はオーディション、仕事は(清掃も)パフォーマンス、制服はコスチュームetc..
「キャスト」という比喩があることで、どのような立ち振る舞いが求められるのか、誰にとっても単純明快!

二.意外性がある

「意外性があるアイデア」が一番人を惹きつける要素なのではないでしょうか。

(1)関心をつかむ

「驚き」で関心をつかむこと。そのためには「パターン」を打ち破ることが必要。なぜならば「関心がない人に関心を持たせることはできない」から。


機内放送の例が上がっていましたが、通常だと聞き飽きた事務的な機内放送も、「ジョークをいれる」という「パターン」を打ち破ることで、乗客の関心をつかむことができたのだそうです。

(2)関心をつなぎとめる
たた、関心をつかむだけではダメで、つなぎとめる必要があるといいます。
「興味」を持ってもらうこと。

そのためには謎を生み出すことが効果的。
例:土星の輪は何でできている?、陰謀説(魅力的な人が若くして亡くなる)

「優れた文章は、すべて謎かけで始まっている。つじつまの合わない問題状況を書いた上で、読者を謎解きの世界に誘って、物語を展開している」(p.113)
「謎には威力がある…結末を知りたいという欲求を生み出すからだ。」(p.114)

ミステリーが時代とわず人気なのは、驚きと謎かけから始まり、引きこんでいるのだろうと思います。
最近の韓国ドラマも、冒頭の謎かけから最後の節線回収まで引き込み方が上手い。(もちろん笑いのエンタテイメントも一級品なのですが)

それには、ハリウッドの脚本がいかに好奇心をそそるか、という内容が当てはまりそうです。

「優れた脚本はすべてのシーンが「ターニング・ポイント」だ。「どのターニング・ポイントも好奇心をくすぐる。」次はいったい何が起こるんだろう…と。」(p.117)

この疑問、欲求が私たちの関心を持続させるのだそうです。

ここからは人の「驚き」の心理についてページを割いて紹介されていて、どれもなるほど、と思うことばかりだったのでここで本文より引用して紹介します。

「意外性のあるアイデアが記憶に焼き付きやすいのは、驚きが注意を喚起し、考えさせる。普段より高まった注意力と思考力が、意外な出来事を記憶に焼き付ける。」(p.96)
「人は驚くと答えを見出そうとする。一体なぜ自分は驚いたのか、という疑問を解消したくなるからだ。驚きが大きければ、それだけ大きな答えを求める。注意を払ってくれるよう相手を動機づけたいのなら、大きな驚きの威力を利用すべきだ。」(p.96)
「驚きは「後から考えれば理解できる」ものでなければならない。」振り返れば
「なるほど」と思うが、そのときは予想もしなかった、というひねりが必要なのだ。」(p.100)

その反面、面白くない文章の特徴は、だいたい予想通りだからだそう。ごもっとも!起承転結のない文章が印象にないのは当たり前だな。。


(3)知識の隙間で興味を生み出す

「「あなたは、これだけのことを知っています。でも、これは知らないでしょう」という文脈を設定すれば、相手が次に何が起きるか気になる」(p.130)

これは、読者のレベル感がわからないと、結構上級テクニックな気がしますが、使える場面はありそう。

三.具体的である

具体的なアイデアは記憶しやすく、具体的な言葉はイメージに溢れています。

この本の冒頭でも紹介されていた衝撃的な、「臓器狩り」の氷風呂の話(バーで飲んでいたら美人と飲むことになり、気付いたら腎臓が取られていて氷風呂の中にいた...)。
これも、一度知ってからは、記憶に焼き付いています。

一度体験したら忘れられないというストーリーが紹介されていました。
「差別」について教える際、説明しても不可能だと悟ったある教師は「差別を実行」した。「茶色い目の子は、青い目の子より優れている」と衝撃的な宣言をし、席を隔離したという実験が紹介されていました。
「偏見」を体験に変えることで、15年後も鮮明に覚えていたと言います。相手を物語に参加させることで、理解と記憶を促すのだそうです。

四.信頼性がある

信頼性の手法については3つのストーリーが興味深かったです。

1.人食いザメの逸話が生み出す恐怖を和らげるために、統計を用いて信頼性を生み出す。そのためには、鹿に殺される確率(自動車事故)はサメに殺される確率よりも300倍だと伝えている。これは一見怖くない鹿を引き合いに出したことで記憶に焼き付けた。意外性も感じるアイデアも良い。(データを使った信頼性)
2.ウェンディーズのハンバーガーのマックの肉より大きいと認識してもらうためのCM「肉はどこなの?」。ウェンディーズの主張を自分の目で確かめてもらうように仕向けることで、検証可能な信頼性にしている。(検証可能な信頼性)
3.ピロリ菌を発見したバリーマーシャルの場合、外部からの信頼性は役に立たず、 自分のアイデアを信じてもらうために、聞き手の信頼性を利用した。
「細菌入りの水を飲む」ことで、 自ら検証可能な「信頼性の実験台」となったそうです。(内在的信頼性)

五.感情に訴えかける

多くの企業は、消費者へのメリットを訴えるべきところで、商品の特徴を強調しているのだそうです。
これはキャッチコピーなどに、あるあるだな…と思いました。

「広告が成功しない理由で一番多いのは、自分たちの達成したこと(世界一の芝の種)で頭が一杯なあまり、なぜ相手がそれを買わなければならないか(世界一美しい芝生)を言い忘れてしまうことだ」(p.244)

メリットのメリットを述べること。「ドリル」が欲しいのではなく、子供の写真をための「穴」が欲しいからドリルが欲しいのだ、ということ。何のためにこの商品を使う必要があるのか、感情に訴える「メリット」ナシでは人は動かされないと思いました。


マズローの「欲求段階」のピラミッドも感情に訴えかける要素として紹介されていました。
下の階層の欲求を満たせなければ、上の階層を満たせないというように。。
https://ferret-plus.com/5369

六.物語性がある

人は、仕事の話をするのか、それは共通の話題を知りたいのと同時に、「自分ならどう対処したか」をシミュレートするためのものだと言います。いろいろなことにどう対処するかについて大切な手がかりを伝えているそうです。

物語は気晴らしであり、教訓である。

「頭の中でのシミュレーションは、問題解決に役立つ。日常的なプランニングにおいても、頭の中でシュミレーション行えば、つい見落としがちな点に気づきやすくなる…適切な物語とは要するにシミュレーションである。」(p.288)


本書から実践したいと思ったことまとめ

・企画の核となる部分をキャッチーな言葉で伝える。(単純明快)
・企画書に想起させる代表作、クリエイティブ物を入れる。(単純明快)
・冒頭に問いから入る、タイトルを疑問形式に。(意外性)
・自分が驚いたことを書き出してみる→企画にしてみる(意外性)
・予想通りの展開に、読者が想定する内容を超える内容をいれる。(意外性)
・これは知っているけど、これが知らないよね?みたいな二段階を入れてみる(意外性)
・商品の特徴ではなく、その商品を手に入れたことで、どんな未来が手に入るのかをいう。(感情)
・自分がシミュレーションできる読み物にする。(物語)


この本のアイデアのちからをお借りして、尖らせた企画に役立てたいと思います!何度も読み返したくなる、さすがは名著でした!!




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